修学旅行⑮
マリンとノエルは後ろに回り込んで!
ジンクルは指揮を頼む。
俺は正面突破だ。
今の俺にはチルハから受け継いだ能力がある。
相手の意識に瞬間的に入り込みその隙に攻撃する。
俺の推測が正しければ俺が今、所持している能力は2つだけでは無い。
俺がチルハの能力を受け継いだように、チルハも誰かの能力を受け継ぎ複数所持していた可能性があるからだ。
こんなでかい宗教の隊長をしてたぐらいだ。
これまでたくさんの能力者を葬ってきただろう。
だがその能力が何かはまだ分からない。
戦闘の中で見つけていかなければ。
にしてもどうすれば能力を発見できるんだ。
考え事をしている隙に額がピリピリとした。
(やべっ )
俺はとっさに頭を下げた。
相手の攻撃だ。
油断したら負けだ。
気を引き締めなければ。
その時、俺はある違和感に気づいた。
俺はこいつらの指揮官であるチルハを倒した。
なのに何故まだ統率が取れているんだ?
そう気づいた時にはもう遅かった。
「メルト!上だ!上! 」
指揮担当のジンクルの声が聞こえて上を見た。
そこには俺に向かって一直線に落ちてくる光線。
これは、あの洞窟の中で俺らの奥から放たれたものと同じだ。
俺はとっさに手を出した。
(こんな時に何してんだよ、俺 )
俺は死を覚悟した。
何故まだあの光線を放った人物が正体を表していなかったことに気づかなかったのか。
後悔、チルハとの約束を破ったこと、俺は様々な感情が湧き上がってきた。
ここで死ぬんだな、俺。
その光線が着弾した時だった。
俺の手のひらに光が全て吸い込まれていく。
まるで魚群の中にいるようだった。
熱い…でも耐えられないほどでは無い。
一体何が起こっているんだ。
俺には理解が追いつかなかった。
(何が起こってんだ? )
光線が降り止んだとき、俺は抑えきれないほどのエネルギーを体内から感じた。
これって、まさか。
俺は新しい能力の性質を感じ取った。
試しに目の前に連なる、教徒立ちに手のひらを向け、力を込めた。
すると突然光の玉が現れ高速で回転し始めた。
やっぱりだ。
その手を前へ押し出すと、回転のかかった光の玉が高速で打ち出された。
そう、この能力は、'吸収'。
汎用性に優れ、攻撃にも使える。
チルハ、お前はこの能力を自分が所持していることに気づいていなかったのかもな。
だって、相手の攻撃を手のひらでうけようと思うやつなんてそうそういない。
「ジンクル!マリン!ノエル!1回俺の後ろに来い! 」
そうと決まればやることはひとつ。
この能力で敵、全てを吹き飛ばす!!
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