背景での会話
一方そのころ、先に出て行ってた海月兄妹は依頼人のいる喫茶店のもとへと着いていた。
「帰り、それでどうだった?」
「聞いている以上にサバサバしてんな」
「しーそれは分かるけど……まあいいや。報告があります。少なくとも、チサさんはそんなことする人ではないことが分かりました」
「そう、するわけもないのにね……」と容疑者のじゃないと分かったのに、その顔はより影を落とす。
その様子に兄は「喜ばないのか?」と素朴な疑問をぶつける。
「嬉しい事ではあるけど、ただ単に何も生まなかった結果に少し憂鬱になっただけ。やっぱよ情報ほど落胆させる」
「うな、勝手な……」
「兄貴は乙女心が分かってないですね」
「だったら、分かるのか?」と詰問するとエンビは「口に出してはダメなこと」と真顔でスンと突き返えされたから、兄貴は深入りはいけないと判断し、渋い顔をしてよそを向く。
「悪いね。だけど、迷いのひとつが消えた事には喜ばないとね」と深いため息をつきなからも「調べてくれてありがとう」とお礼を言って、立ち去った。
大男のサイモンもそうだが、この女性もかなりの一物を抱えている。きっとこの物語を追っていけば、深層にたどり着くことはできるのであろうが、決してハッピーエンドもバットエンドもならない予感がある。それは現実としてはありふれていて、物語としては最悪なものであると理解していても……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます