第3話


「朝陽、なにのむ?」


って、同期の浅井颯太にきかれた。


浅井くんは珍しく小学からの幼なじみだ。といっつも、学校はそんなに多くないし、中学校は別だけど、私たちの小学学校は人数がすくなくて、仲良かった。


たびたび同窓会があり、大学も同じになり、職場もおなじ。


最近できたイケメン後輩より、ちょっとぽっちゃりしてるけど、実家の農家をよく手伝ってるらしく日負けしていて、不健康にはみえない。


彼は昔から私を朝陽とよぶ。というか、小学時代の幼なじみとか大抵そうだ。


自販機をまえに颯太がそう言うから、


「なに?おごり?」


「うん、ポイント貯まった」


「自分のために使ったら?」


「期限があるらしい。使わない方が損だ。何がいい?」


言われて、ふと思いついた。


「コーヒー。しかもできるだけあまーいやつ」


「おまえ、ブラック派じゃ?」


っていいながら、颯太がスマホを操作して、自動販売機から、ガコンと音がする。ブラックコーヒーがでてきた。


「誰かにやる気か?」


「さすが、ながいつきあいだけある。颯太、あたりだよ?」


私はうなずいて、颯太がくれたペットボトルを手にとる。


まだアイスが美味しい季節だ。


颯太は軽く頷いた。


「最近、Uターンしてきた村上竜生だろ?イケメンが入ってきたって、みんな、はしゃいでた」


「イケメンだよ?中身も」


「へぇー、そのわりに、朝陽は興味が無さそうだな?イケメンなのに」


颯太はスポーツドリンクをひとくちのむ。日焼けした喉仏がごくん、と動く。


みなれた横顔だ。


「そういえば、花音、もうすぐ帰省だっけ?」


小さな地域で、誰と誰がつきあってたかなんて、すぐ伝わる。


颯太は、微妙な顔した。


「なんかアイツがまだ疑っててさ?あっ、そうだ。朝陽。そのイケメンつれて、ダブルデートとかしないか?」


「付き合ってないのに?昔から花音って、私に突っかかってくるからなあ」


勝手にライバル視してくる幼馴染に、ため息つきつつ、ダブルデートの餌にしては、よわいような?


ーブラックじゃないけど、釣れるかなあ?


ってコーヒーに思った。

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