飛び道具/飽和の予感
自分たちの未来に不穏な影が差しかかったことを仲間に伝えるべく彼女は単身、孤島……
深夜にその地に到達した
その小川のそばで眠ろうとする
そのときカニの手前の地面に、一本の矢が刺さる。
矢をはなったのは、
そして
――筒。
ほとんど肌身から話さず、
弾を撃ち出す「飛び道具」だ。
弓矢をあつかう
ただし
通常、その言葉は「飛ばして使用する道具」を指すが
空を飛ぶことができると思われている
本人いわく弾を撃った反動で飛んでいるのではなく何度も撃ち出した弾を「蹴り続ける」ことで、それを足場にしながら空を走る感覚らしい。
そんなことが人に可能なのか……そもそも「筒」の構造はどうなっているのか……そこまでは不明だが。
現に「
その理由のひとつは、現実に
ほかの誰にも、できないことだ。
それを知っている
かつ不安か強がりか、顔をひきつらせている
そして月光に洗われる
しかし
それから静かに問う。
「急用か」
両手に握られた筒二本を小刻みに震わせながら。
「
巨大すぎる
なお
* *
彼女たちは
ただし
その
もちろん
これはもはや、
しかし、どういった策を講じるにせよ、まずは情報共有が最優先となる。
それで、ここ四日、
それで
自分の住む
声をうわずらせないように気を付けつつも
対する
ほどほどに
そして
「……話は以上です、師匠」
「感謝する」
「
「直接、伝えます。それと、わたしのねーさんを見てません?
「確かに筆頭同士、語り合うべきこともありそうだ。しかしわたしに
「そうですか、本当にねーさんの失踪癖にも困ったもんですよ。ともかく、そんな事情があって
「いいや」
そして
矢である。
彼女自身が飛ばして、小川のそばの地面に突き刺していた一本……それを回収したのだ。
「察するに夜明けまで待つ気だったんだろう。暗い時間帯にもかかわらず、からんだわたしのほうが謝るべきだ」
しゃがんだまま
そのカニは
しかし
彼女には最初から、危害を加える気がなかった。
だからカニの手前の地面に矢を突き刺した。
害意がないことを読み取ったからこそ、カニ自身も逃げようとしなかった。
そして
「じつは姉さんの仕事もこのごろ、きなくさかった」
一方の
建築を仕事としているのだが、必ずしも穏当な依頼ばかりをされるわけではない。
たとえば戦争に使用する要塞を手がけることもあり、仕事がら
「
「察することは、できなかったと思われる。いままで戦いが起こる前に感じていたものと同程度のきなくささだったから。……
「飽和……?」
首をかしげる
「かかえきれなくなった思いが、あふれるということだ」
彼女は
それは複雑な視線だった。
「ともかく、
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