飛び続けるよ落ちるまで
……何度でも夜は明ける。
きょうも例外ではない。
暗闇のなか絵をかいていた
日差しは、ある部屋を照らし出す。眠っていた者たちのまぶたを、優しく
きのう
「歩いてきた疲れも完全に抜けたし、ここの風呂も
手足を伸ばし、体を
一方、
「これで
「
「わたしも筆頭の全てが好きです」
しかし
「まあ筆頭以外のみんなのことも好きなんですが。あ、余計でしたか」
「全然余計じゃない」
「じゃあ気持ちよく起きたところで……」
「やる気ですね」
「……二度寝する」
「そっちのやる気でしたか」
苦笑する
日差しを顔に受けながら、すぐ眠りに落ちる
* *
「見送りです。ちなみに、ねーちゃんは道場で門下生のみんなに稽古をつけています。
「マジか」
……という
「うっかりでした。二度寝が効きましたね。朝早くの稽古前だったら
「それはわたしのうっかりだ。
「あと風呂貸してくれたことも。それと文句ひとつなく、わたしたちを迎えてくれたことも追加で。ぜーちゃんも
そして
「
「ねーちゃんには、ちゃんと言っとくよ」
自分の姉が感謝されているのが嬉しいらしく、
それを見て、
「
「
「おまえは自己評価が低いようだが。実際すごいやつだとわたしは思っているし。みんなも、そう感じているから。きのうも、うまいメシ作ってくれて」
柔らかく笑う
「そうだった、きょうのぶんのごはん、まだですよね。作ります。食べましょう。ほら、いったん部屋に引き返して」
そう
* *
かくして
再び礼を述べて去ろうとするふたりの
屋敷の玄関から遠ざかっていく
「
「向こうに着いたら今回の件、伝えておきます。ねーさんの所在についても
ちなみに
……それから
「それと、ねーちゃんはここに残って、ねーさんが帰ってくるまで待ち続けるみたいです」
さらに彼女は
しかし背の高い
「ほんとはわたし、
すると、
そして
* *
屋敷から
「で、筆頭」
そのなかで
「
「うーん」
「
「あの、それが分かっていたなら、なぜ最初に
「いや
「
「だからこそ、たぶん言ってないと思う。あいつらのいる
「はあ、了解です」
その先に
「筆頭、上り坂が続いていますが、平気ですか。おんぶしましょうか」
「ありがたいな。でも今度ばかりは自分の足で歩かないといけないように思う」
しかし
「わたしは変なところで注意力が足りないようです」
「そんなの誰だってそうだよ。みんなどこかが抜けている。かく言うわたしも例外なく」
「……わたしは今回の
「そうか。でも、『めでたい』という認識も間違いじゃない。おまえは、全てを思える
そんな会話を交わしつつ、ふたりはそろそろ、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます