第489話 リアの出番です
何なのだろう? と、お祖父様が割った卵を覗いてみた。そこには孵化前の、まだ羽も生え揃っていない濡れた雛が丸くなって入っていた。細い血管が浮き出ていてグロテスクだ。
「げッ!」
「姉上、なんて声出してるんだよ」
「だってレオ、何これ。気持ち悪い!」
「魔鳥の雛だろう? まだ産まれる前だから、こんななんだよ」
「いやいや、レオ。それにしれも気持ち悪いぞぉッ!」
そうだ、割ってしまったら大丈夫だったりしないのかな? ちょっと思いついたから姉上に言ってみた。
「姉上、これって燃やせないかな?」
「だって、シールドがあるんでしょう?」
「でも割れてるからさ」
「意味が分かんないわ。やってみるけど」
「思いっきりやってみてよ」
そう言いながら。距離を取る。
「いくわよ! みんな避けてちょうだい!」
おおー! と兵士さんが応えてみんな距離をとった。姉上が両手を卵に向けて、炎を放つ。ロロが凄いと言っていた青い炎だ。これは温度が高いらしい。
割れた卵を目掛けて炎を出しているのに、何故か上空に反れてしまう。
「あー、やっぱ駄目なんだ」
「なによー、思いっきりやったのにぃ!」
「ワッハッハッハ! しかしリアの炎は青か!」
お祖父様も炎の色のことを知っているんだ。青色の炎は威力が高い。赤い炎より温度が高いから、とロロが言っていた。どうしてロロがそんなことを知っていたのか、知らないけど。
「仕方ない! 割るぞーッ!」
お祖父様と兵士さんたちが、剣でガンガン殴って地道に卵を割っていく。魔鳥も卵を守ろうとすぐ上を旋回し攻撃を仕掛けてくる。
「あれ? 魔鳥の攻撃は通るんだ」
おや? 魔法が通らないのは、卵が並んでいる巣だけだよな。だって僕の魔法が、飛んでる魔鳥に届いたものね。
「レオ! 何落ち着いてんのよ!」
「姉上、剣で炎を出して魔鳥を斬ってみてよ」
「任せてちょうだい!」
姉上が剣に炎を纏わせ、魔鳥に向かって大きく振った。大鎌みたいな大きな炎が魔鳥に襲い掛かる。離れて見ていると、まるで青い炎の鳥のように見える。
魔鳥はギャァーッと雄叫びを上げ、火だるまになって落ちて来る。よし、いけるぞ。
「リアとレオは魔鳥を攻撃してくれ!」
「ハイッ!」
「私たちは、少しでも早く卵を割ってしまうぞぉーッ!」
今のところそれしかないのだけど、一体何個あるんだ? 一個割るのも時間が掛かるのに、それを全部割っていくのか? ふぅ~、これは大変だ。
「レオ! ボーッとしないで!」
「あ、ごめん!」
つい違うことを考えてしまった。こんなところは、ロロとそっくりだと自分で思う。ロロもよく全然違うことを考えていたりするから。
「ふふふ」
「何よ、気持ち悪いわね」
姉上ったら酷い言いようだ。
「僕とロロは似てるな~って思ってさ」
「今更何言ってるの? 肝心な時に全然違うことを考えるのなんて、そっくりじゃない」
「姉上もそう思う? 僕もそう思ってたんだ」
「兄弟なんだから、似ていて当り前よ」
そんな話をしながら、魔鳥を大きな炎で焼いている姉上。でも姉上はまだ魔力制御が甘いから、魔力量が心配なんだよな。そんなことを計算していないだろうし。
「姉上、魔力量のことを考えてる?」
「え? 何?」
やっぱり考えてない。肝心な時に使えなくなったら意味ないんだって。
その時だ、パキーンと何かが割れたような音が響いた。同時に巣の上空にヒビが入り、何もない空間がガラスのようにバリンと音を立て砕けた。これって……ああ、やっぱりだ。
ピカがキラキラしたゴールドの毛を靡かせながら走ってくる。速いな~。
「ピカ、どうだった!?」
「わふわふ!」
「そう! やっぱり!」
「わふ!」
「ピカ、さすがだよ! ありがとう!」
凄いや、さすがピカだ。もう壊しておいたよ。なんて言っている。
シールドらしいのだけど、魔鳥にそんなスキルはないと聞いて考えていたんだ。もしかして、僕たちが魔石で作るシールドと同じなのかな? って。
それでピカに探してもらっていた。そしたら案の定、周囲の四カ所に拳大もある大きな魔石が設置してあるのをピカが見つけた。
それをピカが壊して、シールドを解除したんだ。僕が考えていることを全部説明しなくても、ピカはちゃんと理解してくれる。やっぱ賢いんだよな。
シールドさえなければ、こっちのものだ。
「姉上の出番だ!」
「ずっと私の出番よ!」
アハハハ! だから違うって!
「姉上! 卵を焼くよ!」
「え? だって……分かったわ!」
姉上はきっと、どうして焼けるのかとか考えてないだろう。僕が焼くと言ったから焼くんだ。無条件に信用してくれる。
「お祖父様! 焼きます! 離れてください!」
「おう! 退避だぁッ! 全員離れろーッ!」
お祖父様の掛け声で、兵士さんたちが皆卵から距離をとる。
「姉上、特大のを思い切りお願い」
「任せてちょうだい!」
姉上が卵に向かって両手を出して構える。集中して魔力を集めているんだ。周りに風が起こり、姉上の髪が風圧で靡きだす。
こういう集中力は凄いと思うんだ。だから余計に、魔力操作を練習しないのはもったいない。
「いきます! いっけーッ!!」
特大の炎が放たれ、蜂の卵のようにびっしりと並んでいた卵が炎に包まれる。その上空では炎に巻き込まれて魔鳥も燃えている。
こんな威力の炎を出せるなんて、僕でも知らなかった。
◇◇◇
お読みいただきありがとうございます!
リアが活躍する回でした!
リアは詳しいことは分からなくても、レオが焼くと言えば焼けると無条件で信用できるのです。
レオは四兄弟の頭脳であり、フォローの人なのですね。リリで例えるなら、クーファルです。
こういう立ち位置の人、好きです。(^◇^;)
クーファル兄様も大好き🩵
もうお仕事がお休みに入っている方も多いのですね。
担当さんからも、ピタリと連絡がこなくなりました(^◇^;)
その間に、頑張って改稿をしておかないと!
気付けば二作品たまってしまって、ちょっと焦ってます。
来年も続編が刊行されますよ!
カクヨムコンもエントリーを目指して新作を執筆中です!
投稿したら読んでいただけると嬉しいです!
ランキングがあるんですってΣ(º ロ º๑)
こっちもちょっと焦ってます(^◇^;)
頑張ります〜!٩( ˃ ᵕ ˂ )و
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