主人公・本陣優は、才色兼備の女の子に、テストで彼女を負かして一位を取ったら告白すると決意。しかし、二位にはなれるのになかなか一位に届かない。そのうちもう一人が首位争いに加わって来て、一位争奪戦は混沌……。彼女には勝ったけど一位じゃないから告白できないというこだわりには、いやもうしちゃえよ、とツッコミたくなるじれったさ。
一話で終わるかと思いきや、そこから本陣をめぐって群像劇のように物語が展開し、いろんな感情をかかえている子がいて、多層構造の青春ドラマが味わえる。そして一位にこだわってきた本陣の執念(?)は意外な結果につながることに。いろいろな生徒の視点と瑞々しい感情と、物語が進むにつれてエキセントリックになってくる本陣のキャラクターに注目してほしい。
作品の構成がまず面白くて、「う、裏でこのような出来事が……」と引き込まれました。
主人公の優は、学園の美少女である姫川さんのことが気にかかり、学園トップの成績である彼女に勉強で勝とうとします。
「一位になったら告白する」と。
まるで某「故郷に帰ったら」というような死亡フラグの香りすらする彼の目標設定。そして姫川さんに勝とうと努力をするのだが、そこに現れたのが美並菜水という別の少女。
自分が姫川さんにテストで勝った時には菜水が一位になるなどして、ことごとく目標を阻んでくる。
どうもうまく行かない状態が続き、そしてどんどん月日が流れ……と第一話の時点で彼はついに中学校卒業の時を迎えるまで行ってしまいます。
でも、そこからがポイント。第一話だけでも短編作品として完成されているような感じに、彼の「どうもうまく行かない勉学バトル」の顛末が語られます。
それが第二話以降で、「菜水はどのように事態を見ていたか」というような出来事が語られていくことに。
地味めな女子の菜水が才色兼備な姫川さんに勉強では負けたくないと考えることや、そんな中で優のことを意識するようになる展開。
更に姫川さんの方でももっと勉強で一位をキープしないといけない感じなどが出て、第一話でのデッドヒート状態がどういう経緯で作られてきたかが見えてくるようになります。
そんな感じで優だけが超然とテストのことだけ考えていた一方で、女子たちはすごく色々なことに悩んで「青春」していたことがはっきりわかります。
菜水の「等身大な女の子」として勉強を頑張って、誰かを好きになって、ちょっとずつ大人になっていく感じ。
一人一人の心情の掘り下げが丁寧で、モブだと思えていたキャラにもしっかりとした悩みとか葛藤があるのも伝わって来ます。
「青春」というものの多面性と、青春ならではの甘酸っぱさ。様々な魅力を味わうことのできる作品です。