第7話

 アジトは、地下に巨大な空間をもっていた。広さでいうと淡路島くらい。そこにはいくつかの太陽がいつも浮かんでいて、だだっ広い湖があり、砂や樹木にあふれていた。水族館もあった。


「サイコロに似せて作ってあるんや」普段からサイコロを意識して生活できるように、ということらしい。「水族館では、わにの生態を研究しとる」

いったいどうやって、この広大なエリアの環境を維持管理しているのだろう。

「アジトがどういうシステムでまわっとるかわからんやろ?」僕は、うなずいた。

「庭師や」

「にわし?」

「庭師たちが、太陽や木々の世話をし、砂をととのえ、湖の生態系をチェックしてくれとる。それだけやない、今朝の料理も庭師が作ってくれたんや」

「ここでは庭師がおらんと何もできん。落ち着いて、訓練も研究もできんのや」


 仕事ひとつとっても、知らないことが多く、新しいことも多い。この世界は、僕にはわからないことだらけだ。

 僕にはわからないことだらけだけど、ひとまず、サイコロにいくことだけを考えて生きていくことにしよう。

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