第3章110話:砦の中へ

クリスタベルも俺に続いて下りてきた。


着地する。


すぐさまあしで砦の裏口に近づく。


倒した魔族衛兵まぞくえいへいの遺体は、放置しておきたくないので、アイテムバッグへと放り込んでおくことにした。


「中に入るぞ」


「ええ」


俺はとりで裏口うらぐちの扉をそっと開ける。


扉の向こうには通路が続いていた。


とりあえず見える範囲には敵はいないとわかったので、扉の中へと入った。


直線通路ちょくせんつうろ


すぐにがりかどになる。


その先に一人の魔族兵士まぞくへいしが歩いていた。


青い肌をした魔族だ。


『俺が処理する』とクリスタベルに視線で合図をしてから、滅魔の杖を使用する。


「―――――――――」


魔法弾が命中して、魔族を即死させる。


そして素早く、倒した魔族の遺体をアイテムバッグへ放り込んで、先へ進む。


進む。


進む。


進む。


道中どうちゅうの敵は、同様の方法で処理していった。


魔族が2体以上いたときでも、滅魔の杖なら対応できる。


この杖は、魔法弾を打つこともできれば、範囲攻撃も可能だからだ。


いずれにしても、ほとんど音を立てずに敵を攻撃できるので、こういう潜入せんにゅうには非常に役に立つ武器なのだ。


ただ。


「道がわからないな。こっちで合ってるのか」


と俺は不安を口にした。


とりで内部ないぶの地図でもあればいいのだが。


「おそらく合ってると思うわよ。方角的に」


とクリスタベルは言った。


俺のほうでは確信は持てないが、クリスタベルがそう言うなら信じることにしよう。


……と。


曲がり角。


その先に一匹、魔族がいた。


俺は滅魔の杖を使って、さきほどと同様に魔族を倒す。


そして魔族の遺体をアイテムバッグへと収納しようとした。


だが、そのときだった。


「んん!!?」


声がする。


顔を上げると、さらに前方の曲がり角。


そこから魔族がもう一匹、現れていた。


カバのような顔をした魔族である。


その魔族は、俺とばっちり目が合っている。


カバ魔族の視線が、倒れた魔族へと向かう。


次の瞬間、カバ魔族は叫んだ。


「て―――――」


「くっ!」


俺は滅魔の杖で殺害しようとした。


だが、それより早くにクリスタベルが槍を投げる。


豪速ごうそくで飛んでいった槍がカバ魔族の肩に突き刺さった。


「あがっ!!?」


カバ魔族がすっころぶ。


槍は命中したものの、あれでは致命傷ではない。


俺はトドメを刺すために、滅魔の魔法弾を放ったが――――


「!!」


カバ魔族のリカバリーが思ったより早く、肩に槍が刺さったまま、曲がり角の向こうへ転がり込むようにして退避した。


滅魔の魔法弾が壁に当たって立ち消えてしまう。


そしてカバ魔族は叫ぶ。


「て、敵襲だああああああぁぁぁッ!!!」


「くそっ!」


と俺は悪態をついた。


さらにカバ魔族が叫ぶ。


「侵入者だぁあああ! 侵入者だぞぉおおお!!」


カバ魔族の声が大きく響き渡る。


最悪だ。

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