率直に、めちゃくちゃ良かったです。
読書中にXで感想をあげた回数でいうと、歴代No.1かもしれない。なにがそこまで刺さったのか、がんばって言語化してみたいと思う。このレビューが美しい物語を待っている人のもとに届けば嬉しい。
愛する人の死の運命に抗うため、何度も過去をやり直す騎士団長・クロヴァと、その当事者である令嬢ジルコニアの愛を紡ぐ物語。
過去をやり直すたびに、二人が少しずつ惹かれ合っていく道程がとても丁寧に書かれていて、深く感情移入してしまった。二人の関係性が、ひとつひとつの出来事を通して少しずつ深まっていくところがいい。交わす言葉や、ささやかなやり取りにグッとくる。男女の心がどう変容し、恋や愛に至るのか。この作品は、その心の流れをとても大事にしていると思う。
登場人物のほとんどが上流階級であり、キャラ造形、情景描写、感情の動きに至るまで、一切その軸が濁らないように書かれている。そのため作品全体を通して、磨いた真鍮のような美しさがある。
最初から終わりまで一貫して表現が美しく、品がある。アクションや後半の盛り上げ展開に入ると、どうしてもそちらに意識が傾き、作品の色が変わっていくものも多い中で、この作品は基本にある美しさがほとんどブレない。これは結構すごいことだと思う。
だから読んでいる間、頭に浮かぶ映像が破綻しない。ずっとその世界の空気の中にいられる。読み終わったあとも、物語の余韻にどっぷり浸れる。読んでいる最中も、読み終わったあとも、満足感が長く尾を引く作品。読み手としても「ああ〜すごいきれいな物語読めた〜……」と感動したし、書き手としても「この表現、流し方、構成うっま…」と何度も感嘆が漏れた。
少し、悔しくも思う。そんな作品に出会えたことを感謝したい。
聖女祭の日、必ず彼女は命を落とす。
すれ違う切ない恋や、拗れた恋情、甘いドキドキだけじゃない、ジルコニアちゃんの死の運命に迫る、サスペンス的な熱さや、不穏さ、疑心暗鬼すらたまらない一作です!
やり直されるたびに、違った角度を見せてくれる、行動力を見せてくれるキャラクター達が胸熱です。
そしてこの作品のキャラクターは、みんな傷つくし、絶望もするけど、それと同じくらい、やわじゃない。立ち直る力も持っている。
クロヴァの手によって押され続ける、やり直しの選択。
そしてこの物語が終わる時……
胸に迫るラストです。ハピエンです!!
この物語にかけられた呪いが解ける瞬間を、是非、見てください。
素晴らしい作品をありがとうございました!!!
この作品、最後まで読んで、泣いちゃって、もう一回最初から読み返しました。下記、特に魅力を感じた点を書いてみます。
①ストーリーがおもしろい!
本作はタグにあるようにループものなど、古典的な題材を利用しています。一般的にそのジャンルの作品において障壁となる問題は割と早めにクリアします。それなのに、解決にはとても切ない障壁があり、読んでいて「ここまで来てるのに…なんでうまくいかないんだ…!」と快いハラハラ、切なさを感じることになります。
②キャラが生きてる!
ヒロインは文句なしに応援したくなる人物です。
それだけでなく、メインキャラの周りの使用人や知人との関係がとても丁寧に描かれており、キャラたちの育ちや周りの人にどう思われているかまで伝わってきます。悪役に当たる人も、どうしてそうなったのかがとても納得できます。
みんな愛ゆえに行動しています。
③2回泣く…
途中のある回、及び最終話では本当に涙腺が緩みました…その回の描写、構成が素晴らしいのはもちろん、そこまでの一話一話の積み重ねです。そこまで、登場人物たちの努力や喜怒哀楽に寄り添ったので泣けるのです。
第1話の塔の上下での邂逅から、何度もやり直して悔いなき人生を追い求めた主人公たちに思いを馳せ、もう一回読み返してきます。