練習譜『雑駁帖』

鷹枕可

第1話 『群鶏図』


絶唱のごときまへがみしたたらせ獅子、向日葵その他濡つ雨


動物園冬の砂漠を乞はしめ駱駝なまぬるき水啜りをれ


園丁薔薇園へ撒く噴水に目をうばはれ 一過性黒内障


炎色反応むらさきに染む果実・花 葬礼の群衆握る茱萸


今こそ詩歌 馘らむとして縊られし薔薇科櫻のうろくづ泛べ


始原微笑うかべ菩薩画のくちびるみだりにも死を求む


群鶏図熟れて垂るる南天の紅き房と花房なすとさかと


ゴッホいちまいの剃刀頬に中てめくるめく松柏燃ゆみどり


目裏に天井花卉の白群の櫻しにかたびらはオルフェに学べ


凄絶に果てり五月のあじさゐの若枝砕けつつ燃ゆ苞芽

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