なみかぜ列車

浜風の吹かない

列車の中で

在りもしない思い出を

なんとなく浮かべている


頬杖ついた窓際

無意識に触れた耳たぶ

ほのかな温かさを

冷えた指先で弄ぶ


貨物船に手を振ったら

僕の想いを

届けてくれないかな


海は越えなくていい

隣に居る

君のもとに


覚めた夢は

まだ暖かい

そっと抱えたまま

海の反射を眺める


テトラポッドの群れに

消されないよう

小さな鼓動を瓶に詰めて

水平線から目を逸らした



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