希薄

ふっと目を逸らした数分に

半透明の月はそこに居ない

暗い綿菓子が隠したのは

本音かペルソナか


同じ場所で思い出に耽るのは

僕の悪い癖だと思う

「チルい」「エモい」と正当化した

今時いまの逃避行


夕焼を見て思うのは

いつしか

感傷だけになっていた

片方の想いはそこに無い


幸せなんだろうが

暖かさに慣れてしまうと

寒さすらも感じないんだな

哀しいね いやそれも分からない


このまま此処で眠ってもいいかな

バスも時間も乗り過ごして

夜風に晒されて夢を観たい

なんて くだらない冗談も笑えない


涼しくもない17時半

秋風に吹かれた月は

格好つけた空の片隅で

僕よりも光っていた



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