22.6


「どうしますか?」


「……そうですね、一枚追加を」


そう言って、ヤコは軽くテーブルを叩いた。台パン?テーブルマナー悪いぞ、ヤコ。


「違いますよ、お嬢様。これはですね……」


「では、良いですかね?」


「はい、これで大丈夫です」


「なら次はディーラーである私の番ですね」


ディーラーも三枚引いた所で、勝負が始まった。


「合計が二十一以上になったら負けって言うシンプルなルールなので、今度はお嬢様もやってみますか?」


キングとかクイーンは十点で、後は番号通りらしい。へぇ、我にも出来そうだな。今回は、ヤコがエース一枚、それから九。そして、キングだから合計点二十。


「……成程、私の負けですね。配当は二倍なので、どうぞ」


それに対して、ディーラーは十八点だから、そう言う事か。


「お嬢様、コインはお嬢様が持っていて下さい」


『はいはい』


渡された二枚のコインを受け取ってそう返事をした。さて、まだまだ借金返済は遠い。


「実は小耳に挟んだのですが、お客様方如何やら多額の負債を抱えてる様でもう暫く此処で稼いでいくのは如何でしょう。今度はそちらの可愛らしいお嬢様ですか?」


あ、我?うーん。やろうかな?どうしよ。一杯賭けて負けたら怖いしなぁ。


「お嬢様、ブラックジャックは負けは少ないです。まぁ、あくまで少ないだけですが」


『やった方が良いって事?』


「どっちみち、稼がなきゃ帰れないですし。まあ、怖ければ……」


(ノーリスクで、出来ますから)


だな、分かったよ。


どうやら此処は割と悪どい商売をしてるカジノらしく、客に対して碌な扱いをしないらしい。借金を返せなくなった人達の行く末は想像出来なくも無い。


まぁ、要は彼らは悪い人で。我は……我は何だろう。吸血鬼の王?と言うか彼らが何をしても、別段危害は……加えられてるか知らない借金背負ってるし。……。



そうだ、払えないぐらいの金額まで、馬鹿勝ちすれば此処は経営出来なくなって違法カジノは潰れるしハッピーエンドでは?


我天才か?天才だなこれ。よしやろう。


「お嬢様……大丈夫ですか?」


『うん、大丈夫……じゃないな。何で、我お前の膝の上に乗ってんの?』


平然と膝枕しながらブラックジャックすんなよ。考え事してただけだって。


「負けました、もう貴方に教える事はありません。もう二度と此処には戻ってこないで下さい」


オブラートに包まれたオシャレなな出禁食らってるな。


『勝ったのか?』


「まぁ、コレぐらいですね」


ヤコの手のレジ袋からチップが覗く。えっと、二百枚ぐらい?つまり……。


「二千万ぐらいですね……いやぁ先は長いですねぇ」


『そうかぁ、じゃあハイ』


溶かしても構わない血で出来た偽物のチップ入りレジ袋を作り、ヤコに渡す。本物は、そこら辺に隠しとくか。


「ありがとうございます。にしても、どうしましょう。次お嬢様は何かやりたい物はありますか?」


『……我、あれやりたいんだけど無いんだよなぁ』


「どれですか?」


『インディアンポーカー!』


「それは……無いんじゃ無いですかね」


昔、やって凄い楽しかったんだよなぁ。だからやりたいんだけど。


「まだ大富豪とかの方が可能性はありそうですけど、アレで現金のやり取りしてるのシュールで緊張顔やシリアスよりもユーモラスが勝つと思いますよ」


『楽しんだ物勝ちって言うじゃん』


「まさかお嬢様に正論で返される日がこんなに早く来るとは思いませんでしたよ。後最高の笑顔ご馳走様です」


『ちょっと聞いてくるわ』


「ちょ、勝手に動かないで下さい!」


ヤコに腕を掴まれ、一緒に行く事になってしまった。なんか恥ずかしい。


「すいません。此処には、インディアンポーカーは無いですよね?」


ヤコが暇そうなスタッフに聞いてくれた。やっぱ無いのかな。


「い、インディアンポーカー?いやぁ、それは無いですね。あくまで此処は賭博場なんで」


『そうか……』


無いと聞いてやっぱりショックだ。悔しいから、今度ばっとんとグゥルでオールナイトトランプ大会開こう。


「……まぁ多分無理だと思いますけど、一応上の方に聞いてみますね」


「わざわざすみません」


「いえいえ、大丈夫ですよ。すいません、オーナーええ。そうです、ハイ」


イヤホンマイク的な物で連絡を取っているっぽいので、少し離れようかと思っていると。


「え?マジすか?はい、分かりました。そう伝えます」


「何か出来るみたいです。たまたま、ブラックジャックコーナーの担当ディーラーが今日はもう帰りたいって言い出したらしいです」


「可哀想なお客さんに当たったんですね。そう言う時は寝て忘れた方が良いですね」


「その代わり、条件が二つ程ありまして……それを受け入れていただければ構わないと言う事なんですが」


一つは、オーナーがその場にいる事、その現場を自身の目で見守りたいとの事だ。これは偽チップは使わない方が良いな。


そして二つ目は、多くのチップを賭ける事。


「ふむ、これは、どうします?お嬢様」


『我?』


「はい」


『やりたい、けど』


「今までみたいには行かないでしょうね、きっとあの人はこれぞギャンブル!みたいな事を言うと思います。あの脳ミソギャンブラーは」


『ははっ、確かに言いそうだな』


そして、さっきまでいた場所に戻ればゴツい只者じゃないお爺さんが立っていた。コレはやばいなと思いながら、我は全チップをベットし、渡されたカードを受け取って天へと掲げた。


『おわり!』


《コメント欄》


・終わりじゃ無いよwwww

・いやいや、やっとインディアンポーカーに移ると思ったら終わりかよ

・満足そうな顔してるけど、こっちは不完全燃焼なんだよ

・続きは?

・良い話風に締めるなw

・打ち切るな


『続きはメンバーで!』


《コメント欄》


・クソガキが……

・メンバー何処?此処?

・酷すぎるだろ

・あのおっさん達は何だったんだ

・何も分からなくて草

・此処まで見た俺らの時間返せ



『冗談は置いといてだな、今日はこれで勘弁してくれ。実は帰って来たばかりで、あまり体調がなアレだから。また今度機会があったら話すわ。じゃ、おつかれーい』


《コメント欄》


・締めるな

・おいまて

・あーあ

・次の配信はこの事に対して謝罪会見で謝りながらフルで説明して欲しい

・それはおもろい

・おつかれーい

・乙

・かれーい

・おつかれ〜い

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る