対決、ヴェリタス・レーゾン・フライルー

『魔力領域、展開。

 プレート分離……ドローンビット全方位攻撃、来ます』


 空中にて相見えた2機。

 早くもその影を広げたのは、ヴェリタスの方であった。


「アイドレ、武装は……」

『右腕損傷につき、右半分の武装は使えない状況にあります』


「———っ!」


 アイドレの周囲を漂うヴェリタスのプレート。

 ソレらはまるでアイドレを向くかのように、アイドレに対して『面』を見せず———その側面から魔力砲を放出していた。



 ルプスにはただそれを避けることしかできない。今までのソレと何も変わっちゃいなかった。


「左腕部は———火炎放射器だと?!……誰だ、こんなチンケな武装を選んだのはっ!」


『貴方様でございます』



 ———そう。時間も経っていたし、ことごとくイレギュラーに邪魔されてきたのもあるが、元々この機体の武装構成は、一対多を想定した武装だった。


「嘘……だろ……っ!」


『当機は嘘を付きません。そのような命令でもない限りは』


 故に、元々からこのような一対一は不利……



 ……どころか、唯一対抗できる武装の右腕エネルギーブレードが真っ先に使い物にならなくなったせいで、今は絶体絶命の状況下だ。


「っ!……左肩の武装は!」

『99式サイドツー用小銃懸架済ウェポンラックでございます』


「しめたっ! 火炎放射器は捨てる、早くソイツを腕部に寄越せっ!」


 ———が、真上より迫るはヴェリタス。


 手に持つライフルは常に、アイドレのコックピット———ユニットコンテナを向いていた。


「おい、イド!

 ヤツの攻撃は、魔力砲であってるか!」


『魔力式のエネルギーライフルです。カラコン式のものよりエネルギー効率が上がっており、装弾数が———』


「なら———火炎放射器は有効か!」


『有効です。魔力は可燃性につき———』


「やってやらぁっ!」



 放たれた魔力砲。それらは影を合わせ、一直線にアイドレに向かって降り注ぐ。

 それに対する迎撃は、火炎放射。


『残り燃料、80%』


 ———そもそも前の戦いでもほとんど火炎放射器は使っていないのだ、故に燃料だけは無駄に残っている。

 攻撃を凌ぐ、ただそれだけなら、





『プランC……決めに行こうか、そろそろ』


 縦横無尽に宙を舞っていたプレートは、このただ一瞬にしてヴェリタスに集結し、その周りを円状に回り続ける。


『魔力反応増大……プレート内部補機魔力炉、最大稼働に達します。


 ———何をしてくるか分かりません、警戒を!』


「警戒つってもなぁ……っ!!」


 その時。

 プレートの魔力砲発射面は、その全てがアイドレに向いていた。


『極大出力、魔力砲、来ます!

 魔力障壁を———』



「魔力障壁———ったってぇ!」




 ———そう。魔力障壁がどうだと言うのなら、ここに魔女を連れてくるべきだった。


 そんな後悔紛いのことを、ルプスは一瞬思って。



「っ、しゃらぁっ!」



 がしかし、その魔力砲は回避された。


『避ける、か……

 次は当てる、そして破壊する』


 ヴェリタスは、ただ……戦闘体制のまま、空を制するように静止しているままだった。

 





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