Revenge Match

翌日、律儀な物部は怪場の一方的な約束のために



16時、15分前に昨日来た劇場の前にいた。




ため息をこぼし腕時計を確認するとその扉を開く。


物部「おい、用件はなんだ。俺は暇ではないと昨日………!」



物部は役以外で表情を見せることがない。


がこの時ばかりは少し目を見開き言葉を飲み込んだ。


昨日まで埃だらけだった劇場が古くはあるが綺麗に掃除されていたからだ。


客席もステージも昨日と違い照明の光でしっかりと輝いている


物部「………!」


少し辺りを見回すとすぐそばの客席で寝息を立てている。


怪場 星が


その服や髪、顔は埃で汚れており


近くには掃除用が転がっている



物部「(…昨日の今日で広さのあるこの劇場を掃除したのか。)」




とそこに


北川「あ!物部さん!来てくださったんですね!!」

掃除用具の入った倉庫から北川も現れる


物部「…北川か…掃除はお前達二人で?」



北川「いえ!怪場さんが一人でやらないと物部さんをギャフンと言わせられない!

っていってお一人で。


僕はせめて掃除道具の片付けだけでもしようと思って」


と北川は星のそばにあった掃除道具を持ち上げた。



北川「星さん、昨日、物部さんが帰った後からずっとお掃除してついさっき終わったんですよ。


だからもう少しだけ寝かせてあげてくださいね」


といい手に持った掃除用具を片付けるためにまた倉庫へと足を進める北川




物部「…….」


物部は寝ている星をみて

ふー、と声をもらした。





すると

何処からかけたたましい音が流れる


物部「…」


星「んぉ!?」



どうやら星は携帯で目覚ましをセットしたいてようで飛び起きてそれを止めた。




星「んー!!」

軽く背を伸ばす星



物部「起きたか」



星「うぉい!?びっっっくりした!来てたなら起こしてよ!」

なんて理不尽に言う星




物部「で?なんの用だ」

と早速、要件を聞く物部


星「え?あ!そう!!昨日言ってたじゃん!舞台綺麗にしたら怪場にチャンスくれてやらんこともないって」



物部「言っていない。埃だらけの場所で演じるなどあり得ないと言っただけだ」


星「だから綺麗にしたじゃんか」


物部「はぁ〜…貴様のその諦めの悪さだけは評価してやる。」


星「じゃあ演技の評価も!………じゃないね。



昨日はカッとなってごめんなさい。

でも、怪場が演劇を好きで心の底からやりたいのは本当なんだ。


早く公演やりたいし


たくさん演技したい、団員も増やしていろんな演技がしたい


それにもっともっと演技も上手にもなりたい。



だから」


物部「…!」


星「一度でいいから演技を見てほしい…です。

それで教えたくなったら教えて欲しいし

一緒に演劇してくれるなら嬉しい…です。


物部サンはすごい人だって聞いる…です!

昨日、貴方と話してぶつかって

怪場は習うなら劇団を一緒にやるなら貴方からがいい。




教えたくならなければ物部サンの言った通り働きながら何処かの劇団で学ぶから」



そう言って星は土下座した。


頭を深く深く下げた





物部「……お題を出す。演じて見せてみろ。


チャンスは一度だけだ。


それで俺が納得しなければ後者を選択しろ」



星「!!!ほんと!?」



物部「ここを一人で掃除した意気込みに免じて……だ。」



星「ありがとう!」



物部「ふん…舞台に立て」


星「わかった!」


とまだ十分な睡眠をとったわけでもないのに

やる気に満ち溢れた星はそのまま舞台へと上がった



星「そいで?お題は??お題は?」



物部「お題は______________







〈オペラ座の怪人〉だ」


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舞台上の怪物 鴉メルヘン @CaramelA

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