分冊⑧
分冊⑧【分記・彼女嫉妬の章】
昨日、彼女と晩酌し思ったより飲み過ぎ、家に帰るのを忘れてしまった。
朝、彼女は先に起きシャワー浴びたみたいで浴室から丁度出てきた、私を見て顔を赤めて
「もうこのスケベオヤジ」
と言った
「え、俺だけスケベ?」
と返したら
含み笑いで私をジーと観つめて
「おバカ」と色っぽく言って台所に行ってしまった。
私もシャワーを浴び。
シャワーが浴び終わった頃
「ご飯できたよー」と彼女からお呼びがかかり、絶妙な焼き加減のベーコンエッグとパンの朝ごはんを食べながら私は彼女に
「朝飯食べたら一回、家に帰るよ」と言った、彼女は
「まだいいじゃない、ゆっくりしていきなさいよ」と言ってそれから無言で朝ご飯を食べていた……
そう言うのでその日は彼女の仕事である、教会の墓地の清掃を朝から手伝う事にした。雑草やゴミなど拾い終えたら「そうそうこの教会の裏に地下室があるのよ、見に行く?」と言ってきた
「うん言ってみようかと」答えた教会の裏に四角い鉄のマンホールの様な蓋がありそれを開けたら中にはしっかりした階段があった、整備はされてるみたいだった。
「おじいちゃんが20年位前に見つけたのよ、前のCuba危機とか騒いだ年に此処を核シェルターにしようと自力改造で頑張ったけど計画は失敗したというか挫折というか……それなりに中はだいぶ直したみたいだけど」
入り口の壁には照明器具のスイッチもしっかりあった、階段を降りて行くと、突き当たりに古い鉄の扉が現れ、そこがB1(地下一階)の部屋への入り口だった。
まずは、そのB1の部屋へ入ってみた。
部屋の広さは二十畳位はゆうににあると思われる。
床には赤いジュータンが引いてあり、備品は何も置いて無かった。
ジュータンには猫の足跡が着いていた、どこかにある換気口から猫位の動物なら出入りできる様だ。
何か急にその部屋の空間が不安に思えた……
奥に木の扉があり、開けると八畳の部屋があった、その部屋の床は木床でその光景まさしくキッチンだった。
テーブルに椅子が2つ置いてあり。
奥の壁に小さいが流し台もあり、その上にカセットコンロが置いてある。
流し台の横には冷蔵庫まであった。
冷蔵庫の中身に興味が湧き、彼女に了解を取って見せてもらったら、サカリ茸とサカリ草を冷凍パックで隙間なく冷凍庫に引き詰められていた。角の方にもニンニクの醤油漬けにされ、椎・草と同じ様にビニール袋にピッチリパックされたワニのような鋭い爪が見える謎の肉も冷凍保存されていた……。
後は冷蔵に薄い丸いハムが数枚重なったパックが1枚、あとはネギが2本入ってるだけだった。
他には木箱に入った赤ワインが6本あった熟成させてるのだろか?
部屋の隅には革張りの大きめの箱がありその箱を開けようとしたら、
「あ、それ開けちゃダメ」
と彼女が言うのですぐ触るのはやめた。
そもそも、その箱はランドセルの様に上から被せる感じの開閉の仕方で、留め金具は四桁の相性番号性で簡単には開けれそうにはなかった。彼女は中に何が入ってるかは知っているみたいだ、何が入ってるだろう? エッチ系かな……
地下2階は1階の部屋に入ったら直ぐ右に螺旋階段が有り、降りると四畳の部屋で発電機があるだけの部屋だった。
もう昼頃なので地下のキッチンで彼女は常備されていたインスタントの味噌ラーメンを作ってくれた、ラーメンには先ほどの薄いハムが数枚、上に乗っていた、チャーシューの代わりだろうか、私はこのような努力をする人が好きである、なんか可愛く感じた、私がハムだけすぐに食べてしまうと、
「君、子供みたいな食べ方ね」
と言って彼女は自分のは一枚残し残りは私のドンブリに入れてくれた。それも食べてしまうと後はネギ以外なんの具も無かったが、親が作る肉野菜がタップリ乗っかってるラーメンより、その方が食べ易く小麦とスープの味を直に感じられるので、いつもよりうまく感じた。
即席ラーメンの真髄は具無しにある事を知った。
ラーメンを食べ終えたらコーヒーを飲みながら話をした。
財布から1万円札を出して
「これ宿泊代」と彼女に手渡そうとしたら彼女はそれを見て
「なにこれ、いらないわよ」と言った。「そういう訳にはいかないからさ受け取ってよ」と言って彼女の手に握らした「なんか水臭い宿泊代1日百円で帰る時に精算でいいわよ」と言ってとりあえず受け取らなかった。なんか怒ってるようだった……
それからなんとなく1週間程過ごし、流石に郵便物も溜まってる気がするし餌付けしている猫の事も気になり始めたので彼女に帰る話を持ちかけた、
「なーにまた帰る話しー まだいいじゃん」
「君は休職中なんでしょ、ウチでゆっくり養生すればいいじゃん、私がご飯作るし夜はセックスできるし最高じゃん何が不満なの? 私に飽きたの?」
「いや郵便物が溜まってると思うし餌付けしてる猫も心配だしさ」
「郵便物ってハガキだけでしょう、猫は他で餌貰ってると思うから心配しなくても大丈夫よ」
なんか彼女が粘るので怖く成ってきた……
困った、彼女に私の病気のことは、どうも言う気には、なれなかった、やはり体調が良くても一回は病院に行って主治医に相談したいこともあった。
どうにもならんので手紙を置いて帰る事した。
2日後の昼頃
「ちょと買い物行ってくるから留守番お願いねー」と彼女は出かけた。
私はチャンスだと思い置き手紙を書く事にした、
[帰ります、ありがとう……と書いた所で私の左視界に彼女の横顔が写り込んだ凍りついた……
彼女は私の手から手紙をひったくった!
「コソコソソンソンと何書いてたのかなー君は? どれどれ」と手紙をながめた
「帰りますありがとう……何これ置き手紙?」
私はウソ言ってもしょうがないと思い
「うん、それ置いて一回帰ろうとした」と言った
「なるほどー逃げようとしたんだ」
「な! 逃げる違うよ帰るんだよ」
「この手紙の内容もう戻ってこない感じだよね」
しまった、中途半端なとこで手紙取られたのがヤバいことになった……トイレなど道徳的結界が張られた所で書けばよかったんだ、なぜそれを、しなかった少なくても彼女が忘れ物をして戻ってくる予想位はしなければいけなかった……俺も老いたかーと自己嫌悪に襲われた
「まだ手紙書いてる途中だよ」
「途中でも最初に『一回帰ります』は書けるよね、君の書いたのいきなり『帰ります』から始まってんじゃん、そのあと『ありがとう』て、どうゆうこと? 何、勝手に私たちの関係終了させてるの」
私の普段の書き方の癖が私を追い込んだ、、いや自分でもなんでいきなり『帰ります』から書いたのか理解出来なかった、たぶん焦っていたのだろう……それか潜在意識の中に早くここから逃げたいと思っていたのか? あくまで私は彼女は好きだ、しかし最近、怖さは感じてる。
私が万策尽きて黙り込んでいると
彼女は「さてどうしようかねー」と言っってタバコに火をつけた。ここは相手の出方に合わせるしか無い。
しばらく彼女は私を見つめた、目がまんまるである。
外では夕立ちの雨が降ってきたゴロゴロと雷鳴も聞こえる。夏もそろそろ終わる
彼女は私を見つめながら首を横に傾けた
部屋内がピッカっと光りバーン!! 近くで雷が落ちた様である。部屋が薄暗くなった……停電である
「あーわかった君、女いるなー」
ピエロの様な、なんとも言えない表情の彼女が私に詰め寄ってきた!
部屋が停電で薄暗くなっているせいか、彼女がホラー映画のように迫ってくるピエロのように見え、
私はビックリして後ろに倒れてしまった。
彼女は上から見下ろしている
「そいうこと、私に飽きてまだ中途半端な別れ方した彼女のとこ行くんだーていうか追うんだー」
「そんなことな、ないよ」
「舌噛んでるよ」
「俺の事信じてよ必ずまたすぐに戻るよ」
「どうだか」
しばらく沈黙の時間になった……
私が先に口をきった
「君の家に引越してくるにも、このままじゃ、ラチあかないでしょ、帰って業者に頼まないとさ」
「越して来てくれるんだ、じゃ連絡先と住所、教えて紙に書いて」
と彼女は言った
私は書いて渡した
「住所確認するから免許も見せて原付のあるでしょう」
しまった原付の住所変更してなかった今書いたとこと違う住所だった
「早くして!」
しょうがないから免許を渡した
彼女は免許をみて
「どういうこと?」
「免許の住所変更してなかったんだよ」と答えた
彼女の顔は明らかに疑っている
策をなにか策を
「あ! そうだ電波番号確認サービス電話してよ、それなら信じてくれるでしょ」
その場は彼女が確認してなんとか危機は回避できた。
流石に彼女も諦めたようで少し考えてから。
「……じゃー今日、夜さ地下室少し片付けるからそれ手伝って明日朝、一回帰っていいよ一回ね!」
私は笑顔で
「じゃそれでと」言ってしまった
「君、なんか嬉しそうね」
彼女はまたなんか考え込んでいる。
私はそれ以上の会話は避けた
その夜、
彼女が作ったニンニクタップリの焼肉丼を食べながら、そういえば、あの地下の部屋は片付ける様な備品は特に何も置かれて無かったのを思い出し、不思議に思い、彼女に片づけの内容を聞いたら、
「来ればわかるわよ」
と素っ気ない回答をした。まだ少し怒ってる様だった。
彼女はテーブルの上に一つの小瓶を置いた。
「これ飲んでマムシドリンク」
「おじいちゃんが残してた物なの賞味期限近いから」
何か彼女は私と目を合わせようとしなかった……私は食糧難で喰われる寸前のペットなのか?
夕食を食べ終えたら、彼女と教会の地下室に向かった……
程なくして地下室に着いた、彼女は
「ちょっと此処で待っていてね」とニッコリして奥のキッチンがある部屋に入って行った、しばらくしたら照明が白から赤く変更された周りには赤い世界の異空間が広がった! どこからかスピーカーがあるのか洋楽の危機迫るようなBGM周りに流れた!そして私の前に彼女が現れた……
分冊⑨【分記・女帝降臨の章】に続く。
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