高齢者施設で目にした祖母の眉を顰めるような行い。その行いに孫である主人公は憤慨するのですが……人の行いの意味は、生きてきた時間が証となります。祖母がその人生の中で過ごしてきた日々で守っていたもの。自分を心身を犠牲にしても育んだもの。多くのものを失ってもなお、残ったもの。その事実を知ったとき、主人公だけでなく物語を読む者の心も揺さぶられることでしょう。家族の慈しみに満ちた人生の一場面です。どうぞ御一読ください。