【電子書籍3巻発売】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……
第102話 私の婚約祝いの席で私が婚約するのが気に入らないお義父様の前で、大国王女がお義兄様の相手になると宣言しました
第102話 私の婚約祝いの席で私が婚約するのが気に入らないお義父様の前で、大国王女がお義兄様の相手になると宣言しました
「「「キャーーーー」」」
「殿下と妾の娘がキスしたわ」
「そんな、愛しのレオン様の唇が!」
私の唇がお義兄様に奪われた瞬間、会場は阿鼻叫喚の世界と化した。
女達の煩い事と言ったらなかった。
私もとても恥ずかしいわよ。
「お、お義兄様!」
お義兄様が唇を離してくれた瞬間私は真っ赤になったのだ。
「何だ、キスが足りなかったか」
「そんなわけないでしょ。人前でキスするのは止めてよ!」
「判っていない奴らに見せつけないとな」
お義兄様は私を抱きしめながらニコリと笑う他国の王子様たちを睥睨しているんだけど……
ちょっと外交問題になるからガン飛ばさないでよお義兄様!
私がお義兄様の胸をツンツンとつつくと更にぎゅっと抱きしめられたんだけど……
「れ、レオンハルト! 貴様、儂の娘のエリにこんな公衆の面前でなんと破廉恥なことを」
怒り狂ったお義父様がお義兄様を叱責した。
「何を、仰るているのです、父上。初代様も皇后様と皆の前でキスしたとありますよ」
「愚か者! それは婚姻の儀の時であろうが!」
「婚姻も婚約もそんなに変わらんでしょう」
「そんな訳はなかろう!」
お義父様とお義兄様が言い合いを始めてくれた。
私達の後ろではローレンツお義兄様とマルクスお義兄様が頭を押さえているのが見えた。
「さすが殿下」
何か後ろでセドリックの呆れた声が聞こえたし……
ヒューヒュー
今日の式典に参加している騎士連中は口笛を鳴らしてくれていた。
もう儀式を引き続きやるような状況にはないんだけど……
「ウホンウホン!」
その時、後ろから大きな咳払いがした。
「陛下! お続けを」
お祖母様がお義兄様をにらみながら言ってくれた。
流石にお祖母様に睨まれては皆静かになった。
お義父様にとっても、叔母で元皇女様のお祖母様の前では文句を言い続けることも出来ない。
騎士達の多くの女神がお祖母様なので、大半の騎士達も静かになった。
女どももお祖母様とは年季が違うのだ。お祖母様に睨まれたら、静かにするしか無かった。
「今の行いを見る限りこの愚息が果たして相応しいかどうかとても疑問だが……」
「ウホンウホン」
そこをまたお祖母様がお義父様を睨みつけた。
「まあ、此度の東方10ヶ国の平定を鑑み、レオンハルトを皇太子にすることにした」
「「「ウォーーーーーー」」」
歓声がわく。まあ、お義兄様は軍には圧倒的な人気があった。
猪突猛進型のお義兄様の下について働くのは大変なのだが、その戦績は圧倒的なものがあった。
東方10カ国軍をたった一人で壊滅したのは未だに語り草だ。
しかしそんなみんなの歓声とは別に、周辺諸国からの招待客は作り笑いを浮かべていた。
まあ、周辺諸国にしてみたら強力な皇帝の出現は避けたいのが本音だろう。
できればなんとかしたいはずだ。
しかし、ローレンツお義兄様にしてもマルクスお義兄様にしても、お義兄様には頭が上がらないし、両親共に同じだ。その異母弟のフランシスは私の実の弟だし、兄弟間に楔を打ち込むのはなかなか難しいのだ。
まあ、問題は、地味な私がお義兄様の横に立つのが良いのかと思わないでもなかったけれど、
「俺達の為には絶対にその方が良いから、エリーゼちゃんは素直にレオンの横にいてくれ」
私がそう言うとトマスさんたちに必死にお願いされてしまった。
何でも私が傍にいない間のお義兄様の無茶振りに、一軍の皆は大変な目に遭わされたらしい。
「出来たら一軍の皆をもっといたわるように注意してほしい」
とお願いされたんだけど……
お義父様がお義兄様に私との婚約について「エリーゼにはもっといい相手がいたはずだ」とか「何もこんなに早く婚約を決めなくても」とかぐちぐち嫌味を言いつつも、挨拶を終えた。
さて、これで食事の時間だ! 今日も食べるぞ!
となるわけもなく、私達はさっそく貴族達の挨拶攻勢にあってしまった。
「レオンハルト皇太子殿下。此度の皇太子ご就任おめでとうございます」
真っ先にベアトリスの父のクラパレード公爵が挨拶してきた。
「本当に殿下の御威光が周辺諸国にまで煌々と照らしておりますわ。亡き皇后様もさぞお喜びでしょう」
その夫人のエマが言ってくれた。
この二人は全く私を見てくれない。まあ、ベアトリスの謹慎の原因が私だから仕方がないかも知れない。
それに本来はこのパーティーもお義兄様の皇太子就任パーティーのはずなのだ。何故か私との婚約披露パーティーになっているけれど、絶対におかしい。
でも、お義兄様の機嫌が少し悪くなって来たんだけど……
隣で抱き寄せられるような位置にいる私もこの位置はとても嫌だ。
私が少し離れようとしたら、お義兄様が手を掴んで引き寄せてくれたんだけど……
ちょっと、お義兄様、何してくれるのよ!
私の怒りの視線にもお義兄様はどこ吹く風だ。
公爵夫妻は眉間にしわを寄せた。
「伯父上、今日は俺とエリの婚約披露パーティーなのだが」
お義兄様が二人に言ってくれた。この二人に私との婚約の話を言うなんて凄い。まあ、それがお義兄様なんだけど。
それにこの二人はお義兄様の伯父夫妻なのは事実だ。すなわち、私の義理の伯父夫妻になるのも事実なのだ。
「おめでとうございます、殿下。それでそろそろベアトレスの謹慎処分を解いて頂けると大変ありがたいのですが」
公爵が祝いを言うついでに無茶振りしてきたんだけど、まあ、二人に祝ってもらおうなんて難しいのは判るけれど、ここでその話を振るか。
「公爵、それは父上に話すべき話だと思うが」
お義兄様が不機嫌そうに言った。
良かった。今日はお義兄様も機嫌が良いみたい。怒り出さなかった。
私がほっとした時だ。
「それが陛下は今回の婚約の儀で何かご機嫌がお悪いようなのです」
なんと公爵夫人が言ってくれたのだ。
その声が何故か会場中に響いたのだ。
周りの貴族達は興味津々という顔でこちらを見てきたんだけど……
絶対に勘違いした面々はいるはずだ。
「ああら、皇帝陛下がこの婚約に乗り気でないのならば、私がレオンハルト様のお相手にならせていただきますわ」
公爵の後ろからの大声が会場中に響き渡った。
そこには笑顔のホンファ・チエナ王国王女がいたのだった。
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ここまで読んで頂いて有難うございます。
このお話の電子書籍が、8月26日(月)シーモア先行配信されます。
2万字の新規書下ろしと3千字のシーモア限定限定SS付きです。
9月20日(金)kindleなど他書店での公開になります。
よろしくお願いします
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