• マイページ
  • 小説を探す
  • ネクスト
  • 書籍化作品
KADOKAWA Group
  • ログイン
  • 新規登録(無料)
源頼政、歌物語

源頼政、歌物語

月夜野すみれ

おすすめレビュー

★で称える
★★★
★3
1人が評価しました
本文あり
日付が新しい順

本文ありのおすすめレビュー

  • Maya Estiva
    954件の
    レビューを投稿
    ★★★ Excellent!!!

    和歌に宿る想いと物語

     言葉にすれば、届かないものがある。
     けれど、言葉にしなければ、伝わらないものもある。

     この物語には、和歌が息づいています。
     源頼政が詠んだ歌、その一首一首が、ただの装飾ではなく、彼の心そのものとして響いてきます。
     夜の静寂に溶け込むような余韻のある表現、風や月の情景に託された思いが、物語とともに流れていきます。

     和歌とは、わずか三十一文字に感情を込めるもの。
     その短さゆえに、言葉を削ぎ落とし、選び抜かれた一語がどれほどの重みを持つのかがわかります。
     この作品では、頼政の詠む一首が、場面ごとの空気を変え、言葉を交わすよりも深く、心の奥に入り込んでくるのを感じます。

     ただ語られるだけの歴史ではなく、詠まれた歌から広がる物語。
     限られた言葉だからこそ、そこに宿る情緒は濃く、鮮やかです。
     頼政が見た景色、その心の揺らぎを、和歌とともに感じるひとときがここにあります。

    • 2025年2月17日 07:15