徳ある者が天命をうけ天下を治める。現実の中華王朝をささえた徳治思想は、それをモデルとした本作にも、随所に垣間見えます。その天子の座す宮中にて巻き起こる、天地の構成原理たる五行にちなんだ怪事件。その背後にあったものは、天下の徳の中心たる王朝を、根底から揺るがす闇だった。人が世を壊したのか、世に人が壊されたのか。その混沌の中心に立たされた皇后は、何を願い、何を選ぶのか。終章を読み終えたとき、あなたは圧倒されずにいられるでしょうか。