21. アズサ先生
「お願い!!私に……私に魔力の使い方を教えて欲しいの!!」
「……え?わ、………私に?」
覚悟を決めた様子でそう言ったエミリに対し、私は思わず聞き返してしまった。だって……そもそも私は彼女と同じ奴隷で、同じ教育しか受けていないんだから。
一応、前世での義務教育レベルの知識や
それに、おそらくはある程度の
なるほど……徐々に彼女の
……なるべく言葉を選んで聞くしかない、やるしかない。そうい言い聞かせながら、私は
「えっと……エミリ。私を
恐る恐る語りかけている私。目前のエミリはそんな私を
「あー……コウレンさんやツツギさんじゃなくて、
……ミールほどじゃないけど、結構表情に出る子なのかな。
「あっ!ご、ごめん!!そうよね!!アタシ、自分のことばっかりで……!!」
「いやいや!!その、めっちゃ緊張してたのは分かってるから……!!」
「えっ!!ウソ!!……やだぁ、恥ずかしすぎるってもー……!!」
それを聞いた彼女は
……ミールとは少しベクトルが違うけど、かなり感情豊かな子なんだなぁこの子。
「その……アズサも、あの場に居たから知ってると思うけど……アタシ、って……全然上手くいかなかったじゃない?」
「……うん、何回か失敗して爆発してるのは見てた」
「う、うぅ〜……」
私の返事を聞いた
白い肌なのもあってか、顔の横から見える耳の
そんな具合でテンプレじみた照れ方をしていたエミリだったが、顔を手で隠したまま、再び私へ説明をし始めた。
「……それでね?あの講義が終わった後、私と、他に上手くできなかった子たちが集められて、コウレン先生に教えてもらいながら練習したの。そしたら、そもそも魔力の扱いが下手だ、って言われちゃって……」
その後もゆっくりと、恥ずかしさで言葉に詰まりながらもエミリは私に説明をしてくれた。
その内容を
コウレンが言うには、そもそもハクボウ自体は
だが、エミリは感覚的な魔力の調節が
もちろん居残り練習の際には、
「
こんなアドバイスを彼女に残し、その場を後にしたらしい。
……いや、せめてエミリたちが来る前にこっちに教えてくれよあの野郎。
そう思いながら、改めてエミリの様子を
今は顔を手で
その表情や
……ここまで悩んでいる彼女を見てしまうと、私的な感情を優先させるのもなんか違う気がしてしまう。
それに、コツを教えたところで私の
「……うん、エミリ」
「……なに?」
「私でよければ力になるよ。……どこまで出来るか分からないけど」
「……っ!本当!?ありがとう!!!」
私の返事を聞いたエミリは、目を輝かせながら私の手を取り、
私も私で色々
◇
「それじゃ、まずはエミリの魔力操作がどれくらいか確認したい。反復訓練の魔術、見せてもらえる?」
「え、えぇ、分かったわ……!」
教えるにもまずは現状がどれくらいかの確認も
少し
彼女の構えた右手に小さな
「っぐぅ……!!んー……!!」
しかし、彼女の手元に出来上がったそれはあまりにも暴れまくっており、サイズも
むしろ五十倍の魔力を注ぎ込んでしまう彼女からすれば、むしろかなり頑張っているのかもしれない。
だが、このまま問題ないと返せば、私とミールの住むこの部屋はただの
風の
「うん……まずは形か大きさを整えるところから始めた方がいいかもね」
「わ、分かった、けど……ど、どうやるのよ、それ……!」
肩で息をしながらも、それが分かってりゃ苦労しねぇ、そう言わんばかりの
「これはコウレン……さんも指摘してたけど、やっぱり結論は
「やっぱり、そうなるわよね……」
「うん。まずは昼休みや夜で
「……それ、毎日するの?」
「うん毎日。時間内で出来るだけ」
「……」
「……まぁ大丈夫だって。エミリの体魔力量は私の倍以上あるんだから」
「いや、そうかも知れないけれど……」
「それに、私みたいに水じゃないってことは自室でも出来るってことじゃない?だったら、ちゃんと続ければ私よりも上達は早いと思うよ」
これは本当にそう思っている。事実、私も最初の三日間は若干立ちくらみがすることがあった。だが、倍以上ある彼女なら、一度感覚を
「……じゃあ、アズサは毎日どれだけしてたのよ」
「えーっと……最初の三日間は昼夜のお風呂と自室で寝るまで、それぞれ四十回ぐらい失敗してたかな……」
「えっ?本当に部屋でもしてたの……?」
「うん……え?あれ?」
こいつガチかよ、と言わんばかりに
「……想像以上に不器用、だな」
「やっぱりそうなるよねぇ〜……」
小上がりの方で
「まぁまぁ、そんなこと言ってるけど、実際見せてみた方がいいんじゃない?アズサ
「だれがアズサ先生や」
若干
具体的なサイズ感といった基準が分からないと、そこへ寄せることも出来ないのは、確かに色々不安になるだろう。
そう思った私はとりあえず右手を出し、水球を作ることにした。
「…………????」
数秒を経て、私の右手には水球が宙で静止するように浮かんでいる。形も真球。うん、合格。
しかし、それの様子を見ていたはずのエミリは、まるで信じられないかのように口をボカンと開けながら言葉を失っていた。
……あ、これ知ってる。
「え、あれ?アズサ……えい、しょうして……?」
「うん、感覚覚えたら無しでも行けるよ。詠唱ある方が安定するけど」
「ピェ……」
どうしよう。エミリにバケモンの様な目で見られた。小鳥みたいな
「……ま、まぁ!!!!ここまでしろとは言わないから??!!まずはこのサイズになるように練習しよっか!!!!!」
「え……あっ、えぇ!!分かったわ!!」
なんかもうしゃらくせぇのでゴリ押しでなんとかした。エミリ、アンタのためにも
ふと、小上がりの
「……ミール」
「ん?どしたのレイリン」
「今日は、
「え〜?いいよ気にしなくて〜」
「いや……私はエミリに
「あ〜……アレはまぁ、ちょっとびっくりしたかも」
「……すまない、気をつける」
「は〜い。でも良かった〜エミリちゃんの力になれて」
「あぁ……凄いな、彼女は」
「でしょ?凄いし、変に
「そうか……」
……盗み聞きで想定していなかったのもあるかもしれないけど、こういう形で聞くの、
そんなむず
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