第45話 ロンゴミニアト
「ねぇねぇ▮▮▮▮は他にどんな魔術が使えるの?」
「そうだね…虹色の水を出す魔術とか」
一人の少年と一人の魔術師
「▮▮▮▮はどうして魔術を使えるのに僕は使えないのかな…」
「君はまだ修行をつけてもらったばかりだろう?きっとそのうち私のように魔術が使えるようになるさ」
その男は落ち込んでいる少年を励ます
「僕は将来▮▮▮▮みたいに立派な魔術師になる!」
「私を目指すのはやめておくれ」
「どうして?」
「どうしてと言われてもね、私は王だから…君の師匠を超えることを目標にしたらどうだい?」
「マーリンを目標にするなんて嫌!」
「はは、あいつもだいぶ嫌われているな」
「あれ?▮▮▮▮の指輪どうしたの?一つ足りないよ?」
「よく気が付いたね、保険というか…未来への送り物だよ」
誰の記憶だろう
〇
「クッソ…アラン、俺が情けないばかりに」
「マルンさん、アランさんの指輪が」
「指輪がどうしたって…えっ」
アランの左手の中指にはまっている指輪が光り輝いている
●
知らない景色が、感情が、人物が俺の頭に光にも負けない速さでかけめっぐいる
冬の川水とは比にならないほどの冷たい水に沈んでいく
深く沈む
意識が眠魔に襲われる
立ち上がれ。
どうしてあの依頼を受けたのか
金と実績を得るため
どうしてアレスを使わなかったのか
五分で勝てる相手じゃない
どうして俺はあのキマイラに勝ちたいと思ったのか
強くなるため
どうして立ち上がるのか
戦っている仲間のために
誰かが手を伸ばす。その手は光っていて、とても暖かそうだ
その手を取った。瞬間、アランを水面へ。水面よりも上へ引っ張り上げる
その手がアランを死から突破させた
〇
「アラン!目が覚めたのか!」
「そんな…血も止まっていないのに」
アランは目覚めて立ち上がる
「おい!待てよアラン!お前まだ傷が治っていないんだ!」
アランにそんな声は届かない
アランはキマイラの元へ歩く、その姿を二人はなぜかただ見ていることしかできなかった。
「(ああ…どうして今までこんなことにすら気づかなかったのだろう。剣に纏わせることが可能つまり特定の物だけではなく部分にだけ纏わせることも可能なことに)」
右腕を全魔力で補強し神力を右腕にだけ纏わせる。
「アレス」
その右腕は太陽にも負けぬ熱を感じ、ドラゴンに負けぬ力強さを感じ、そして…
魔力にも負けぬ異質さを感じる
この隻腕で殴ったところであれは殺せない、ならば武器を…あの時、この手で握った武器がいる。あの時と同じ槍を俺は今握っている。この槍の世話になるのも二度目か…
目の前には仲間が戦っている。キマイラから離れてくれないと巻き込んでしまう
「神槍から聖槍ロンゴミニアトに変更」
白い槍をアランが握ると、大気中の魔力、大地の魔力、日光の魔力と周りのありとあらゆる光がロンゴミニアトに集束する
「俺はいったい何を見ているんだ」
マルンはもう、目の前にいる子供が人の皮を被ったナニカにしか見えない
「空よ回れ、海よ回れ、光よ回れ、世界よ回れ、我が天空の加護、海洋の加護、太陽の加護、大地の加護の名のもとに」
アランが詠唱を始めると同時にキマイラは『希望の旋律』と『絶対強者』を振り払い、神の隻腕を担う者へ走り出す
「それをなぎ倒そう。我が恩恵を受けし者、我に恩恵を与えし者、我を慕う者よ、ともに世界を切り裂くが良い
振り上げられた前足が目の前に迫る。一点の急所に狙いを定め、振り下ろされる前足を、神を撃ち落とす一撃で凌駕する
太陽が昇る。光が昇る。大地から、海から、天空へ向かって昇って行く。
その刹那、金属のようなナニカが地に落ちる音がした
文字通り、決着は一瞬でつかされてしまった
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