第40話 新人《アラン》

 学園に入学してから一か月半がたった。学園生活は今のところ順調で貴族から絡まれることもなく平和である


「アラン、一緒に食堂行かないか?」


 タバスとは毎日一緒に昼食をとるなかだが、逆に言うとタバス以外に昼食をとる友達がいないということでもある


「いいよ、今日は何にする?」


「今日は揚げ物にしようかな…」


 食堂まで歩きながらそんな話をする


「アランは何で魔法使いになりたいんだ?」


「何だよ急に、それ前も話しただろ」


「忘れちゃったからまた教えろよ」


「純粋に魔法が好きだから」


 この話はこれで三度目だからもう勘弁してほしい


「タバスは何で剣士というか戦士になりたいの教えてよ」


「オレは生まれつき力が強いからな、握力も脚力とかも同い年のやつよりかなり強かったから誰よりも前に出て戦うことに向いてると思ったから?」


「なんで疑問形なんだよ」


 そんな会話をしているうちに食堂に着き、タバスと何を注文するかを話して、昼休みが終わり、午後の授業が始まりそして終わる。そのまま放課後は素振り、魔法の練習、魔導書を読み魔術式を造って使って失敗する。それが今の日課だ。


―そしてキマイラ討伐当日―

 アランたちは冒険者ギルドの客室の前にいた


「アリスさんは依頼主だから分かる。だけどなんでメイドも一緒に」


「私はアリス様の護衛ですのでお気になさらず」


 アリスの専属メイド兼護衛ねェ…近接なら互角かな

 そんなことを思いつつ、アランは客室の扉を開け、アリスを先に通し一番最後に客室に入る


「お待たせしてしまい申し訳ございません。私は依頼主の代理できました。アリス・ワイズンと申します。以後お見知りおきを」


 アリスは片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げた上で、背筋を伸ばしたまま挨拶をする


「ご丁寧な挨拶をどうもありがとう。私は『希望の旋律』のリーダーをしているエマだよろしく」


 金髪に赤い瞳をしているエマがつけている装備もかなりの高級品

 エマという女性の他にも人がいる、俺もあいさつしないと


「俺は仮冒険者のアランだ。よろしく」


「君…いくつだ?」


 突然アランの年齢を聞きくエマにアランは首をひねる


「九歳だけど」


「今からでも遅くない、早く依頼を辞めることを私は進める」


「エマ様、私も考えがあってアランさんに依頼をしたのです。彼は足手まといにならないと保証します」


「分かった。この子供アランが死んでも私たちを責めるなよ」


 そしてエマは仲間の紹介も始めた


「こちらの五人のメンバーはサポートのセシルとリリル、前衛のフローラ、後衛の

マリー、牽制のサラだ。」


「ちょっとエマ!自己紹介ぐらい自分でできるって!」


 フローラは勝手に自己紹介されたことを怒っているのだが、俺の目にはまんざらでもなさそうにも見える


「フローラ、貴族様の前でそんな言葉使いをするな。ワイズン様すまない、私の仲間が無礼な真似を」


 頭を下げるエマに頭を上げるように言うアリスに「そろそろ自己紹介してもいいか?」と一人の青年はアリスに尋ね、アリスも「貴重なお時間を頂いてしまい申し訳ありません」と謝罪し、青年はやっとかという思いで自己紹介を始める


「俺様も自己紹介させてもらうぜ俺様はヴォル『絶対強者』のリーダーだ。こっちの二人が前衛のルパートとアルバート、それであの窓際にいる二人が盾役のホフとマルンに牽制役のジャンだ。前衛の二人は槍を使って戦うが、俺様は剣だ。よろしくな、ワイズン様と新人アラン


「あのさ…もう一組のパーティが来るって聞いたんだけど?」


「『鳴音』の皆様にはお姉さまの依頼を優先させました」


 俺の質問にアリスが答えたが、キマイラよりも優先すべきことってなんだ


「そろそろ北門へ移動しよう。馬車が到着する」


 エマがそう言うと、全員荷物を持ち始めた。



「皆様のご無事を祈っております」


 馬車に乗る俺たちを見送るアリスにあれから一度もしゃべらなかったメイドはよく聞こえないがアリスに何か話している

 そんなことを考えているうちに馬車は出発した


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