万々歳晩餐会

僕達はボロボロの軽トラで教会に戻った。帰りのパレードが終わっていないのでやるそうだ。

 こんなボロボロになった軽トラに乗らせるのは気が引けたがメッサジェントは、

「名誉の負傷だ」

 とか言ってくれた。ビアンカも喜んで軽トラに乗ってくれた。

 ボロボロの軽トラは教会を出発してメッサジェントの、いや今では新婚夫婦の屋敷に向かった。

 街中を軽トラで大立ち回りしてせいか新婚夫婦への祝福の言葉の他に、

「坊主!よくやった!」「ありがとうございます!」

 といったお礼の言葉を貰った。僕は特に何もしていないが、アスカさんが褒められていると思うとやっぱり嬉しい。

「ありがとう!どういたしまして!」

 沿道のお礼の言葉に何故かアカンサスさんが応えているがあれはもう無視しよう。


 屋敷に着き晩餐会となった。立食形式の晩餐会には多くの貴族が集まり僕は居心地が悪かった。だから更に美味しそうな物をとって僕は壁際で空気となる事にした。

 トラックの説明は下っ端の僕じゃなくてゴドウィンがすればいいし僕はコソコソ食事を楽しもう。ここで用意されている食事はどれも美味しく貴族っていいなと心から思った。

 僕が壁際でコソコソモグモグしているとアスカさんが僕に気付いて話しかけてきた。

「どうだ?楽しんでるか?」

「何だか偉い人が多くて気まずいです」

「だよな」

「そうだ、アスカさんこれ食べました?何かよく分からないけど美味しいですよ」

「おっまじか」

 そんな他愛もない会話をして僕は楽しんでいると、ふと僕は気になった事を思い出した。

「アスカさん、ゲースクが逃げた時動きが速かったですね」

「ああ、なんか結婚式をぶち壊されて勝手に体が動いてた」

「やっぱり結婚に何か思うことが?」

「いや、今でも結婚とかよく分かんねーよ。でもビアンカの嬉しそうな顔を見てると、それを壊すよな事はぜってー許せねーって思った」

 何この人イケメン過ぎる。アスカさんは自分で言った事が恥ずかしくなったのかそそくさとご飯を取りに行った。

 簡易的に作られた舞台の上ではアカンサスさんがハープを奏でながら歌っている。あの人は性格はあれだけど芸術的な事は何でも出来るんだと感心した。

 思えばここ数日ずっとドタバタしていた。デコトラのお披露目から式の準備に段取り。本番のパレードに街中のカーチェイス。今思えば色んな思い出がある。焦燥しているゴドウィン。幸せそうなビアンカさんの顔。喋る鳥。ゲースクの悔しそうな負け惜しみ。喋る鳥。アスカさんのイケメン発言。喋る鳥。

 やっぱりユニークスキルって何だよ。

 

 

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