人生の歯車 - 故人の考え -

奥野 楓馬 - Okuno Fuma

はじめに

とある事務所を設立するため、集まった四人。

そのなかに、人一倍明るく元気な女性が居た。

女性は、ポジティブという言葉では表せないほど元気で、周囲の人が笑顔になるくらい、元気や笑顔を分け与え、人望はとても厚かった。


そんな人が短期間で居なくなった。


私たちはあの日を忘れはしない。


二〇二四年四月中旬、女性が大学構内で倒れ、救急搬送されたと連絡が来た。

当日の面会は難しく、翌日に面会へ伺ったが、何が原因なのか分からないほど、女性は元気だった。


私たちには、いつもの女性の姿にしか見えなかった。


実際は、とある病気と闘っていた。


『脳腫瘍』

医療ドラマなどを見る人には、よく聞く病気だと思う。

女性は、身体の異変に気づきながら、「私なら大丈夫」と自分自身を思い込ませて動いていたらしく、既に手遅れのところまで来ていた。


それは、別れが近づいていることを表していた。


少し、また少しと近づくものだと思っていた。

その矢先、早朝にみんなに見守られながら亡くなった。

二十二年の生涯。

女性が倒れて1週間後のことだった。


女性が残した一冊の本がある。


自分自身がポジティブに保つ、相手を自分なりに考えながら伝えれる方法を書き記したメモ帳だ。


その日記を基に書き記した本となる。


はじめのページには、こう書かれていた。



考えは、人それぞれ必ず違うもの。

十人十色という言葉があるように、十人居れば十個の考え方がある。

そのなかでの私の考え方。

正解や不正解はない、私だけの考え方。

相手の考えを否定しないこと。

ただし、それでも否定する場合は、肯定してから改善策を出すこと。

人間なら失敗がつきもの。

失敗は自分を成長させることができる肥料。

頑張れば、必ず努力は報われる。



これは、ひとりの女性・りーちゃんが生前書き記した考察集である。

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