弱小少年野球チームを引っ張ってきた井原友樹は、強豪遠園リトルシニアの守備走塁コーチの浅見からスカウトを受けた。家庭環境の問題から断ろうとする彼だったが、遠園の選手たち、なによりショートを守る選手の様に感銘を受け、一員となることを決める。
リトルシニア(中学生硬式野球)をモチーフにした本作、主人公の友樹くんがすごいんです。ありがち――齢だけ少年で実際はただの大人――なキャラではなく、ちゃんと少年。野球への直向きさも家族や仲間への優しさも意外な芯の強さも歳相応で、しかもいいヤツ! 好きになりますよそれはもう。
著者さんの確かなキャラクター造形力はチームメイトも個性豊かに綴っているわけですが、目を惹かれたのは家族やコーチといった大人たちです。中学生が全力で野球に向かえるよう支え、導く彼らの存在が端々に効かされていて。物語にしても主人公だけで成り立つものではないんだと実感させていただきました。
スポーツの中にキャラ同士の関わりが光る、読み応えしかない青春ドラマです!
(「中学生×○○!」4選/文=髙橋剛)
まず第一に述べたいのは、主人公である友樹が非常に好感が持てるということです。
野球にまっすぐでひたむきに努力する面や、体の弱い母親を気にかけるなど優しい少年でもあります。
この優しくて競技にまっすぐで努力家というのは、個人的にですがスポーツものの主人公として完璧だと思います。
また、もう一人の主人公的存在の草薙さん(女性)も面白い存在です。
男主体の野球チームに所属し、男ばかりの中で主力選手をつとめるその姿には素直に声援を送りたくなります。
野球をテーマにしていますが、描写が綿密で状況がイメージしやすいのも良いです。
野球が好き、スポーツ小説が好き、青春小説が好き、そんな人におすすめです。読後は爽やかな気分になれますよ!