低軌道リングの車窓、壱岐のターミナル、月面客室――三地点をつなぎ、BETA普及後の功罪と格差を背景に、いのり・桐谷&ミン・歩とソフィアの現在地を丁寧に照射。「星は人の中に」という到達点が、赤羽と交わした約束の回収と“赦し”の受け渡しに直結し、巨大なビジョンを親密な感情で着地させる構成が秀逸。社会性と叙情のバランスが美しい章です。
パンピーには言えないせりふです。これからも、よろしくお願いいたします。
中盤にクライマックスがある。このクライマックスはそこらで売っている小説のラストと遜色なく、この小説の凄いのは、そっから終盤に向けてさらにクライマックスがあるということ。ラストのスケール感は壮大で、物語を振り返れば、地球のたった一地域・新宿歌舞伎町から始まったとは思えない。読者は読了後、ずっと遠くに連れて来られたと息を呑んでしまう。
1話目から引き込まれ、次の展開に目が離せなくなる。そしてクライマックスに近づくほど、一気読みしてしまう。そんな作風です。ナノマシンという近未来の科学と、仏教的概念の融合。その不可思議なテーマを、様々な人間模様と凄惨な暴力が彩る作品。是非ご一読されることをお勧めします。