第18話 浮き沈み
F社の時代のN課長が居てくれたらな。
そうT氏とM部長に話していたら、N課長が引き抜かれてきた。
F社パソコンの生みの親の人がどうしてこんな子会社に!?
どうやら部下を庇い過ぎて上に睨まれたらしい。
この人を放り出すなんて、とんでもない会社だ。
別の課の課長さんになったN課長はたちまちにして頭角を現した。N課長は会議というものをまったくやらない。一日二回、15分間だけ実験室を歩き回って、あっと言う間に全員の仕事を調整してしまうのだ。
そのうちにこの会社の大黒柱の一人となった。
昼ギツネ課長も課内会議というものを全くやらなかったが、それとは内容が全然違う。昼ギツネ課長は会議をやっても問題の解決能力がないのでやらないだけであった。
もう一つ見たくもない見知った顔が現れた。
なんと本社の半導体の元事業部長のW氏である。かって40人以上の部下を誇ったM元事業部長は失敗に次ぐ失敗を繰り返して、ついにここの会社のさらに子会社であるわずか従業員4人の会社に落ちて来たのだ。
その内にM部長の顔馴染である台湾の会社の連中が営業に来た。
小さい会社ながら色々なものを開発しているバイタリティ溢れる企業である。
M部長とW元事業部長を交えて、二週間かけて喧々囂々の会議を行い、ついに契約の調印までこぎつけた。
その調印の席上で、ハンコを持ったままW元事業部長の動きが止まった。
「嫌な予感がする。ハンコを押すの止めるわ」
敵前大回頭である。
なるほどこれではどこまでも堕ちていくわけだ。そのご自慢の予感とやらは当たったことはあるのだろうか?
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