人と違った力を持つ主人公、日暮件。
とあることをきっかけに不思議な雰囲気を漂わせる西園寺君明と行動を共にすることとなる。
彼らの元に届く不可解な依頼の数々。それらを解決しながら西園寺の過去に触れていく。
桜が舞う綺麗な景色の中に、あなたはどんな物を見るのでしょう。
描写が丁寧でとても美しいです。
ホラーっぽい要素もあるのですが、その中にも芯の通った美しさがあって。個人的にホラー系の作品は苦手であったのですが、こちらの作品は楽しみながら堪能させていだきました。怖がらせることに重点を置かない作者様の意図があるのだと思います。
事件の真相がどんな物なのか、登場人物たちと一緒に推理しながら読み進めておりました。
皆さんもぜひご堪能ください!
「あなた、このまま行くと死にますよ」
日暮《ひぐれ》件《けん》。
妖怪・件《くだん》の特性を持つ彼は、人の死を予知することができる。
人の死が予言できても、運命は変わらない。誰にも信じてもらえない。けれど、人が死ぬところを見たくない。
「罪人を君は人間《ひと》と呼べるのかい」
そんな彼が出会ったのは、探偵を名乗る西園寺君明――美しい鬼だった。
「僕は人間の罪を明かす。罪があればそれがいつか追いかけてくる。そうして返ってくるんだ。どこにいようと関係なく、ね」
かくして、西園寺の助手となった日暮は、様々な事件に巻き込まれることになる。
「まったく、人間とはどうしようもない弱い生き物だよ」
「でも、そういう弱者にだって虐げられていい理由はないんですよ」
正反対の二人が挑む、事件と人間の本性は。