憧れ
あるところにウサギがいました。
小さく 白い 赤い眼をしたウサギでした。
ウサギには友達がいました。
黄色い肌に、茶色の目。
そして、女の子だけど男の子なヒトの子で
す。
二人はいつも一緒にいました。
走り回る時も 弟妹の面倒を見る時も。
「君はいつも泥だらけだね」
ある時 ヒトの子が言いました。
『アナタと野山を駆け回るのが楽しいの』
ウサギは答えました。
「君は泣かなくなったね」
ヒトの子が ウサギのルビーのような瞳を見つめて言いました。
『アナタといると毎日が楽しいから』
『それに いつまでも泣き腫らした目じゃ嫌だから』
ウサギが言いました。
ヒトの子は
いつも はしゃいで 走り回って
転げ回って 黒く 茶色く 染まった
ヒトの子は見つめます。
泣かなくなっても
真っ赤で キレイな クリクリの眼が
度々細められ 薄っすら影が差すところを。
黄色い肌 茶色の目 ソレは今も変わらない。
白い毛 赤い眼 ソレは汚れて
茶色く 赤黒く。
「ボクは君の 純白の毛 宝石みたいな赤い眼が 大好きだよ」
確かめるように ヒトの子が言いました。
『ありがとう』
『わたしもアナタが大好き』
『わたし アナタみたいになりたいの』
そう言って満面の笑顔で 紡がれた言葉。
久しぶりに見たルビーの眼。
太陽の光をキラキラ反射させながら
ウサギは憧れを語りました。
ソレを見て ヒトの子は悲しい顔で
笑いました。
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