第26話 フウセンの予感

フウセンは電波局にいる。

フウセンの電波局には、様々の種類の電波が増幅されないまま届く。

低濃度のそれは、基本的に無害だ。

でも、フウセンはちょっとだけ敏感になっていて、

時折悪い電波に当たっては、つらい気分になったりもする。

こんな電波がみんなのもとにいってはいけないと、

フウセンはなるだけ、悪い電波のもとを通報する。

番人あたりが動いてくれれば、そういう電波はフウセン以外には広まらない。

フウセンは少し、いやかなり、危険な仕事をしている。

でも、みんなが電波を受信して生きている以上、

天狼星の町がそういう町である以上、

フウセンのような職業も必要であり、

また、誰かがやらなければならない。


フウセンは機器をいじって、正しい電波を安定させる。

最近安定しないことが少し増えている気がする。

電波とは大きな波ではない、

正しい正しくないに関わらず、

まずは微弱な波から始まる。

だから、小さな動きでも、何か大きなものに関わっているのではないか。

フウセンはそんなことを思う。


安定しない正しい電波は、

何かを伝えているのだろうか。

機器に映し出される電波の波型は、

いつもと同じようにも見えるし、違うようにも見える。

フウセンは、なんだかもやもやする。

何か、ここで食い止めなかったら、良くないことが起きる予感。

重大なことがあるような予感。

フウセンは責任重大ということが苦手だ。

正しい電波を維持している、それ以上に何かというのは、

フウセンには耐えられない。

ふくれた身体で、フウセンはおろおろする。

何かしなくちゃ、すべての責任をかぶるなんてできない。

誰かに電波のことを伝えなくちゃ、

責任を一人でかぶれないし、

天狼星の町がこれでおかしくなったら、

責任はフウセンにあるのだと責められる。


フウセンは泣きそうな気持ちになる。

誰かこの予感を共有してください。

電波の正しいこと正しくないことを、一緒に判断してください。


フウセンは、髪をかきむしる。

とにかく、カミカゼに連絡を取ろう。

フウセンは考えた末、そこにたどり着いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る