「ボーイ・ミーツ・ガール」と「特別な力」をうまく融合させた作品だと思います。
現行最後まで読んだ印象として、熱い戦闘の興奮と、救いきれなかったものへの痛みが同時に残る、ほろ苦い余韻がありました。
作中「力には必ず代償が伴う」という世界のルールが最後まで一切ブレずに書かれています。
この点については、作者の思いがしっかり伝わってきました。
マナの残量制限、月の満ち欠けによる弱体化、そして一度変質してしまった者を即座には救えないという不可逆性。
この法則が物語全体を貫いているからこそ、主人公たちの勝利にも、苦い妥協にも、深い納得を覚えました。
安易な万能を許さない誠実な設計だと感じます。
特に「オカスソリス」には明確な制限があり、例えば「マナの矢は12本が限界」などは構成力の高さが窺えました。
また、私の認識を覆されたのが隆嗣のシーンです。
序盤の軽薄な言動から、私は完全に彼を「日常の賑やかし」だと信じ込んでいました。
だけど、彼がある場面で正体を現した瞬間、それまでの不自然な行動パターンの全てにパズルのピースが嵌まり、鳥肌が立ちました。
この点はミスリードの配置が見事でした。
いつまでも、どこまで、彼らの行方が気になってしまう。
そんな素晴らしい作品でした。