第32通 郵便屋さんの一大イベント。 年末繁忙期編13 〜泣いても笑っても最後の1日大晦日〜
年末年始13連勤も佳境に入ろうとしています。
10日連勤を過ぎた辺りで疲れも通り越して、まだまだ何日でも働けるのじゃないか?と変にハイテンションになってくる頃、友人から忘年会をしようとお誘いが。
やめれば良いのに、そういうお誘いの輪の中に入れないのは嫌な性格なもんで20時に仕事が終わるとお店に友人達と合流します。
そこで友人が開口一番に「お前、めっちゃ痩せたな!?力石徹みたいやぞ!?」
どうやら初めての年末年始の忙しさに頬もこける程やつれていた様でした。
当然翌日は朝からボロボロ…
そんな年末もいよいよ終わる時が来ました。
12月31日大晦日。
年内最後の1日が始まります。
31日、いつものように午前中に高校生外務バイトが配達に出ると、書留や速達配達は、「混合」と呼ばれる専任者に任せて、担当者は局内に残り年賀状の順立て作業に追い込みを掛けます。
泣いても笑っても元旦に配達される郵便を順立て作業できるのは今日が最後ですからね、みんな必死で作業に取り掛かるんです。
16時頃になると配達から戻ってきた高校生バイトも年賀状の順立てに入り、まさに総動員で順立て作業の仕上げへ。
本日分の年賀状の順立てが一巡すると「把束」の合図が班長から掛かります。
その合図が掛かると順立てアルバイトの女子は作業終了です。
正月は順立てアルバイトはお休みで1月2日から出勤ですね。
順立てバイトが帰ると、一斉に竿にある順立て済みの年賀状を配達時に左手で持ちやすい量に輪ゴムでまとめる「把束」作業に取り掛かります。
担当区のアルバイト2人1組で1人が年賀状を10〜15cmの束で持つと、もう1人が輪ゴムを広げて縦に輪ゴムを掛け、次に横に輪ゴムを掛けて十時に輪ゴムを掛け終わると竿に戻す。
なぜ十時に輪ゴムを掛ける時に縦から輪ゴムを掛けるかというと、縦の輪ゴムを外すと横の輪ゴムも一緒に外れるからなんですね。配達中の作業効率を高める方法なんです。
その作業を繰り返し、把束作業が終わるとアルバイトのそれぞれのカバンに把束した年賀状を詰め込み、カバンに入りきれない年賀状を郵袋(ゆうたい)という大きな袋に入れます。
さて、ここでみなさんに問題です。
カバンに入りきれない年賀状はどうするのでしょうか?
郵便局に取りに来る?
半分正解です。
郵便局に近い配達エリアの区は郵便局に取りに来て、カバンに詰め直して再度配達に行きます。
職員が責任を持って配達する?
それを全ての区を対象にやっていたらとても配達しきれません。
事前に中継地点を用意して、そこを拠点にして配達する。
正解!!見事な答えでしたね!
素晴らしい答えが出たところで説明しましょう。
当時の年賀状はとても一度に配達できる量ではありませんからね、それぞれのアルバイトの家や休憩所として郵便局と契約しているお店に挨拶状と粗品を手渡して配達中継地点にさせていただくわけなんですよ。
外務バイトがカバンの中の年賀状を配り切ると、自分の家か休憩所になっているお店に年賀状を取りに行き、カバンに詰め直して再度配達に出発するわけです。
さて、お話を戻しましょう。
その郵袋に入れた年賀状を軽四に乗せて、その中継地点に班員2人が郵送(これを前送と言います)している間に局内に残った班員が年賀状が無くなって空になった竿と馬を年明けの年賀状作業の為に各区2〜3台だけ残して、残りは外務バイトの高校生達と一緒に後片付けに入ります。
力が有り余っている元気な若者達ですからね、とても戦力になるわけです。
あっという間に片付けが終了。
ご褒美のジュース代を渡して帰宅してもらいます。
明日はいつもよりも早い朝7時出勤です。
大晦日だからって夜遊びせずにちゃんと寝て朝早く起きるんだぞー
年末最後の休憩時間の頃には軽四で前走していた職員が帰ってきて、始まったばかりの紅白歌合戦を見ながら「今年もなんとか無事に年賀状の準備を終えたなあ」と年末最後のオヤツの肉まんを頬張り、班員同士お互いを労います。
「お前、明日は7時出勤やぞ?大晦日だからって遊んで寝坊するなよ?」と、いたずらっぽく笑いながら先輩が話しかけてきました。
「そんな。遊ぶ元気ナイッスよー」と笑いながら答えます。
いよいよ明日はお正月。元旦です。
郵便屋さんになって初めてのお正月。
家に帰るとお風呂に入って、紅白歌合戦を見ながら年越しそばを食べると、あとは泥のように眠るだけです。
目が覚めればお正月。
いよいよ郵便屋さんになって初めての元旦配達が始まります。
今回もご愛読ありがとうございました。
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