第23通 郵便屋さんの一大イベント。 年末繁忙期編8〜郵便屋さんのクリスマス②〜

郵便屋さんになって初めてのクリスマスイブに予想より多くの年賀状の取り扱いに四苦八苦した私。


先輩局員の方々の協力でなんとか当日分の年賀状の大区分が終わります。

終業時間は19時。

2時間の残業ですね。


ふらふらになりながら家に帰ると用意されてた鳥の足(我が家では毎年クリスマスになると鳥の足の照り焼きが晩御飯に出ていました)とケーキを食べてお風呂に入ると、あとはボーッとテレビを見て寝るだけ。


テレビを見ながら

あー…みんな今頃彼女とイチャイチャしてんだろなあ…

良いなあ…

と一人寂しくテレビでドリフを見ながらクリスマスの夜がふけていきます。


と、まあ郵便屋さんになって一年目はこんな感じでしたね。


それが数年経つと…


「メリ〜ッ… クリスマースッッ!!今、仕事終わったからケーキ屋に寄ってからそっちに行くわ!!」と公衆電話でテンションの高い青年が。


流石にクリスマスイブは友人達も彼女がいるので一緒にパーティとかは無理なんですが、25日のクリスマスは友人のアパートでクリスマスパーティを毎年開催していました。

私はケーキ担当です。


19時に仕事が終わると友人に電話を入れて閉店間際のケーキ屋さんに予約していたクリスマスケーキを取りに行き、車を飛ばして友人のアパートに向かいます。


20時半頃に到着し、友人のアパートのドアをノック。

「入ってこいよ!」の返事でドアを開けると…


パーンッッッ!!パパーンッッッ!!


とクラッカーでお出迎え!


クラッカーから飛び出した無数のテープと紙吹雪を浴びながら「メリークリスマス!!」と満面の笑みでケーキを差し出す私。


まるで、ドラマの様な一幕。


トレンディドラマというものがこの時代流行っておりまして、この頃の世間一般の若者は自分もその華やかな世界に憧れ、そしてオシャレなドラマの主人公の様な生活に憧れていました。私たちもそんなごくありふれた若者達だったのです。


現在では普通になった『クリスマスイブは恋人達のイベント』になったのも、この時代のトレンディドラマの影響から始まったのではないでしょうか?


テーブルにはケンタッキーフライドチキンに私のケーキにシャンパン。


ね?いかにもバブルらしいでしょ?

ケーキにシャンパン。

ほんと、今思うとキラキラなドラマみたいな事してましたね。

我ながら楽しい青春送ってたなあと思います。


「おー!ケンタッキー!!めっちゃ腹減ってるから早く食おうぜ!!」

「お前が来るの待っとったんやぞ〜

感謝しろよ〜」

「おお!悪い悪い!腹減った〜」


シュッ…ポンッ!!

弾ける様にシャンパンのコルクが抜け、みんなのグラスに注がれると


「メリーッ… クリスマースッッッ!!」

とみんなで乾杯です。


「何回目のメリークリスマスや!?」とみんなで笑いながら食べたフライドチキン。シャンパン。そしてケーキ。


本当に若かったなあと。

次の日も当然仕事なんですけどね、

郵便屋さんになって数年経つと年末年始の仕事の進ませ方も慣れてくるし、新人の頃に驚いていた年賀状の量もクリスマス辺りではまだまだ少ない事が判明するわけです。

本当に多くなるのは28日以降。

お客さんも元旦に届く様に切羽詰まって書き出すんですよ。

ですが、まだクリスマスでは私も体力的に余裕もある。


今夜はみんなでクリスマスを楽しむぞッッッ!!


毎日仕事だろうがなんのその!

明日も仕事だろうがなんのその!

クリスマスパーティは夜遅くまで続き、騒がしく華やかに夜は更けていきます。


あと先考えずに友人達とその時しか味わえない時間を過ごす。今思えば最高に贅沢な事で、これこそが若者の特権ではないでしょうか?

本当に楽しかったなあ。


今回はバブル時代の私のクリスマスの過ごし方でした。

ご愛読ありがとうございました。



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