第17通 郵便屋さんの一大イベント。年末繁忙期編3〜初めての忘年会〜

今回は私の初めての職場の忘年会のお話です。


12月に入り、年末年始の繁忙期準備の為の事務処理に追われていた頃先輩職員からお誘いがありました。


年末の風物詩。忘年会です。


今では少なくなってるそうですが1990年代では各企業では当たり前の様に行われていまして、同じ様に私の職場でも班での忘年会や新年会、季節ごとの飲み会、組合の飲み会等ありました。

ただ、郵便屋さんの場合は休日出勤や夕方以降の配達職員もいるので全員参加は難しく希望者参加という形です。


今回は班内の有志の忘年会だそうで、駅前のお店の入り口には大きなカニの看板がデデーンと飾ってあるあの有名なカニ料理のお店です。

昨年の年末はまだ高校生だった私が会費1万円を払ってカニ料理。

いやあーもうドキドキしましたね。ほんとに。


これが噂に聞く忘年会ってやつかあ。

会費1万円!

俺も大人の仲間入りだあ!

とワクワクしました。


一室貸し切りでの忘年会で5、6人ぐらいでしたでしょうか?

初めて見るカニ鍋。カニ料理に大興奮です!先輩職員にビールをついだり、初めて食べる専門店でのカニ料理に「うま〜い!!」と舌鼓を打ったり、これが大人の世界かあと変に感動したものです。

この時に瓶ビールをつぐ時はラベルを上にしてつぐとか、年長者の方からお酒をつぐとかの飲み方での礼儀作法を教わりました。


今の若い人達から見ると、なんでそんな事をしなきゃいけないの?

これってハラスメントにもならない?

女の子がいたらセクハラ?

とか思うのかなあ?


でもね?こういうのが職場内での上下関係、主従関係として新人職員が先輩職員から指導、指示を円滑に受けるパイプになるのも事実なのです。

そりゃあ、入社した初日から全て自分で何もかも理解できて行動できるのなら別ですよ?でもそんな人いないでしょ?


こういった場所や先輩らを敬う礼儀作法は結果的に自分のスキルや人間関係を高める為には有効な事だと個人的には思います。

そしてこういう場で他人と接するコツを掴むのです。


それにしてもカニ鍋は美味しいのですが、食べだすとみなさん黙々と殻から身をほじり出すから静かになるのが笑えてきますよね。

そんな中、先輩が

「お前。組合は入ったのか?」

「いえ。まだ入ってません」

「じゃあ。うちの組合に入れ」

「あ、はあ。はい。わかりました」

「じゃあ〜決まりな?よろしくな」

ともう一人の先輩が満面の笑みです。


全国規模の郵便局にはこの当時、

全郵政

全逓信

と呼ばれる二つの大きな組合がありました。

勘のいい人は気づきましたね?

そうです。この忘年会は組合の勧誘も兼ねていたのです。

だから有志での忘年会だったのです。

班員でも仲の良い面倒見の良い先輩達だったので何も考えずにそのまま加入の返事をして先輩達の機嫌も良く宴会は盛り上がってきました。


なぜ組合が複数あるのか?全国規模の組織ですからね。いろんな意見を持つ人もいれば、いろんな思想を持つ人達もいます。そして政治的な思惑などいろいろあります。

ですが、この二大組合は普通では考えられない衝突。出来事があったのです。

そのお話しは別の機会でご紹介しますね。


さて、その後人生初のスナックに連れて行ってもらい、初めて知らない人の前でカラオケを歌わされたり(矢沢永吉のピュアゴールドだったかな?)

肌寒い真冬の夜のクリスマス風景の中、軽四トラックで移動販売されている焼き芋を先輩に買ってもらったり(これも初体験)初物づくしの夜が明けていきました。

私にとって楽しい楽しい夜が明けていきます。


そして12月半ばになると年末年始繁忙期は本格的に突入します。


今回もご愛読ありがとうございました。

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