第6話「散歩中のわたし。」

イブの寝所を少し離れると、

ある程度節電しているのか、明かりもない。

何かやっているだろうウリが飛んでいると、

遠く天使の羽の光が見えたりはする。

わたしも飛んだらそうして居場所はバレるのだろう。


ウリ『そうじゃなくてもいつも監視してるからねっ。』


うわあ、そうなんだ…。

まみむめも語尾も終わりですね。

相互通信じゃなくて向こうから突然くるからびっくりするな…。


ウリ『天使というのはこの地上どこでも行けるスペックだけども!

   めんどくさいからあんまり遠くに行くんじゃないよっ!』


はーい…。じゃあ、やっぱりこの辺りを散歩で…。

でも地上も気になるな。

真っすぐ歩いていくと…空中庭園?の端っこに出た。

利用しているのがほぼ天使のようなので手すりすらないけど、

土等落ちないようにはなってはいるな。


ぎりぎり端っこに立って見た。

天使の目をもってしても…。地上に明かりはないな。ほぼ闇だ。

微かに光ったあれも天使なのかな?遠くの方で何かやっているのかな…。


ウリ『地上の管理を我々が手分けして、色々やっているからねっ。』


そうなんだ。たまにウリが通信で介入してくるので、なんだか一人の感じがしない。


ウリ『それでもうすぐ搬入で大型艦が入ってくるけど、

   あたしのとこに邪魔しに来ないようにー。』


大型艦?下の海面?まさか…。と、思っていたら

まさかの上空から巨大な黒い影がやってきた。

空中補給かな?着陸するには大きそうだ。

まるで鯨が空飛んできたみたいだなー…。そんなのもあるんだー…。

気にはなるけど今でも把握する事実で

いっぱいいっぱいなので邪魔しにいかないよー…。


たまの天使の影がちらつくくらいの地上の夜は、さびしい。

しばらく物思いに耽っているとキャタキャタ、変わった音が聞こえてきて。

振り向くとショベルカーが居た。ショベルカーの…女の子だ…。


  「」


ショベルカーの子は、こっちを見て口を片手でふさぐと、

(多分両手を使いたいだろうけど、片方はショベルだ。)

悲しげな表情でキャタピラを鳴らしてキャタキャタ、元の方向に戻っていった。

どうしたんだろう…。

あの子もウリ達と情報共有してて

わたしとは話さないようにでも言われているのかな。


ウリ『いじめか!!別に話すなとは言ってないよ!』


そうなの?


ウリ『…お前に宛がうのにあの子の友達の体とっちゃったからだよ。』


ああ…そうなんだ。それで悲しそうに…。


ウリ『別にそれで、元の中身は別のとこにいるんだけどね!』


ちょっと、それ教えてあげたの?


ウリ『イブと遊ぶのに忙しくて、…そういえば言ってなかった気もする。』


そりゃ悲しむでしょう…。


ウリ『ユンはそれで、あたし達と違う特化型の下級天使だから!

   そう気にしないでいいよ!ずっとここの整備してるだけの子だしっ。』


ユンちゃん。

それで飛べなさそうなショベルカーなのかなぁ。


ウリ『うん、飛べないしここからは出られないね。』


そっかぁー…。


この広い土地が、随分整備されてるようだなと思ったけれど。

あの子がずっとがんばってたのかぁ。


ウリ『うん、そう。お前の元の中身のぴょんぴちと半分づつやってたんだけど、

   ユンちゃん一人で十分仕事はまわるからね。』


ぴょんぴち…。それも天使の名前じゃないよね…?


ウリ『下級天使は別に本名知られようがいい。』


じゃあ、わたしもウリと同じっぽいようで、何かの特化型なんだ??


ウリ『それ以上は知らなくていい。あっ。荷物キター!!』


ユンちゃんかー…。

夜は長いし、ぴょんぴち死んでないよって教えてあげたいし。

ちょっとお話してみようかな?

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