『母は関西出身』/『俺の子』/『恩人たちに尽くす青年』/『甘酸っぱい地図作り』/『過去を見せる電話帳』

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『母は関西出身』



 私は生まれつき直感が鋭い。

 迷った時、困った時、なにもない時でも私の直感は働いて、私を助けてくれる。

 母方の祖母も同じ直感を持っているらしい。


『いまや! ここで一発笑わしたれ!』

『あの空き缶踏んでつるーんって滑るんや! ええ出会いがまっとるで!』

『大丈夫や! バシッとツッコんだれ!』



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『俺の子』



 最近の子供向けアニメは奥が深い。

 キャラクターごとに『信念』とか『宿命』とか『後悔』があったりする。

 でも、幼い息子がそれらを理解できるのか少し疑問だ。

 俺が子供のころは『俺正義、お前悪、必殺技、大爆発』で充分楽しかった。


「このアニメのどこが好きなんだ?」

「てきがばくはつするところ!」



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『恩人たちに尽くす青年』



 最近仲間になった男が怪しい。

 わざとらしく私達の前で魔物に襲われていたのがまず怪しい。

 私達に同行したいと言い出したのも怪しい。


「罠の解除は任せてください」

「念の為、皆さんの分の解毒剤も用意してあります」

「怪我をした僕のことは置いて、皆さんは先に進んでください」


 やっぱりすごく怪しい。



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『甘酸っぱい地図作り』



 大きな画用紙に妻と娘が楽しそうに何かを書いている。


「何を書いているんだ?」

「「地図!」」

「地図を書くのがそんなに楽しい?」

「お母さん楽しいよね!」

「楽しいね!」


「「小さい頃のお父さんとお母さんの思い出地図作り!」」


 その地図には、初めて妻とキスをした場所もしっかり書き込んであった。



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『過去を見せる電話帳』



 実家の自室を掃除していると手書きの電話帳を見つけた。

 中身を確認してみると、子供の頃よく一緒に遊んだ友達の自宅や、片思いしていたあの子の自宅など、色々な電話番号が書かれている。


 幼い自分の筆跡を見て、友達との思い出や、連絡網から密かに番号を書き写した時の僅かな罪悪感がほのかに蘇った。



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