『ひとりじゃないと、落ち着かない』/『よく見ると色々違和感に気づける校舎案内図』/『財産分与』/『出てくるのか、吸われるのか』/『厳守すべき品質基準』

――――――――――――――――――――――――――――――――


『ひとりじゃないと、落ち着かない』



 曜日感覚が狂うほどの連休で、女の生活リズムは崩れた。

 夫と娘のだらしのない生活。

 女は我慢できずに家族会議を開く。


「普段通りの生活に戻します」


 翌日。

 睡眠を堪能する夫を叩き起こし、こたつに陣取る娘を引き剥がす。

 家事の邪魔だと二人を遊びに行かせ、ようやく女はだらけることができた。



――――――――――――――――――――――――――――――――


『よく見ると色々違和感に気づける校舎案内図』



 この高校に疑問を持って入学して、もうすぐ1年になる。

 今日は、去年僕も参加した中学生向け学校説明会の準備を手伝っていた。


「……先生! この校舎案内図はなんですか!」

「それに気づいたか」

「去年もありましたよね! 見覚えがあります!」

「毎年キミみたいな学生を釣るために、用意してるんだ」



――――――――――――――――――――――――――――――――


『財産分与』



 旦那の趣味が理解できない。

 女の子の人形―――ふぃぎゅあ?を作っている。

 れじん?とか言う素材は臭いし、正直困っていた。


 でも、今は少し考えを変えている。

 なぜなら、腹いせに旦那の人形を売りに行ったときに、想像以上の値段がついたからだ。


 頑張れ、旦那様。

 私のために共有財産を産み出し続けて。



――――――――――――――――――――――――――――――――


『出てくるのか、吸われるのか』



 食卓に彩りを添えると噂の透明な箸を購入。


 汁物に使うといいらしく、味噌汁を用意した。

 すると透明な箸は味噌汁を吸い上げ、箸の内部に味噌汁で描かれた複雑な模様が浮かび上がる。

 随分と重くなった箸と空になった味噌汁のお椀。

 それらからゆっくりと手を離す。


 この箸を口に入れる勇気が湧いてこない。



――――――――――――――――――――――――――――――――


『厳守すべき品質基準』



 下級神が創造神からお叱りを受けていた。


「貴様は『神の奇跡』を全くわかっておらん」

「ですが創造神様。私は人々から望まれた奇跡を間違いなく叶えました」

「それがイカンのだ!」


 下級神はわけが分からず首をひねる。


「人の願いを貴様が全て叶えてどうする! 『神の奇跡』は最低限の事柄に留めよ!」




――――――――――――――――――――――――――――――――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る