『誰も帰ってこない』/『倒木』/『別名ウグイス笛』/『孫に見られるのは、流石に恥ずかしいのよ』/『迷宮のお腹を壊す方法15選』
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『誰も帰ってこない』
男が浜辺を歩いていると、地図の入ったビンが落ちていた。
好奇心が疼き、男は地図を持ち帰ることにした。
数年かけて調べ、以前は財宝を求めた海賊が出没した海域で、今は海賊の目撃情報がなくなっているとわかった。
男は自信の冒険心を抑えられず、出航準備を始めた。
海賊船が尽く沈没し、情報の残らない海域だとは知らずに。
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『倒木』
隣人家族とは仲が悪い。
いつも親同士が言い争っている。
敷地に入ってきてるだの、危ないから処理をしろだの。
家のペットは室内犬が一匹だけだし、言いがかりだと思う。
子供同士は仲がいい時期もあった。
一緒に庭の木を登ったり、木の枝でブランコを作ったりした。
春、隣人家族が引っ越して行った。
そして夏、大型台風が来た。
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『別名ウグイス笛』
鳥の歌声と呼ばれる幻の楽器があった。
その楽器の音色を聞かせれば、聞いた者の性格かわかったという。
自分を殺そうとするのか。
それとも助けてくれるのか。
もしくは観察してくるのか。
争いの絶えなかった時代。
相手が、敵対するのか、中立でいるのか、友好的なのか、判別できる幻の笛は大変重宝されたという。
「ホーホケキョ」
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『孫に見られるのは、流石に恥ずかしいのよ』
当主の男は、明け方病院から帰宅した。
そして屋敷に飾っていた、若い婦人の絵画が消えている事に気がつく。
亡き先代当主が若い頃に描かせて、大切にしていた絵画。
妻も「こんなふうに愛されたい」と気に入っている。
病院にいる妻を思う。
出産直後で心労をかけたくない。
男は留守を頼んだ先代夫人に話を聞く事にした。
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『迷宮のお腹を壊す方法15選』
旅人は迷宮に呑まれた。
迷宮は生きてはいるが普段は動かず、口に生物が近づくと無差別に呑み込んでいく。
旅人は恐怖を抑え、他国で聞いた様々な迷宮攻略法を試みることにした。
攻略法の結果を日誌に書き込み、この中で効果の高い方法を街で広めると心に決めた。
そして迷宮が振動を起こし、追い出すように旅人を排出した。
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