美少女VTuber ×(かける)!
みなゆ
ケース1:新人VTuber×担当イラストレーター
第1話 二次専イラストレーターのわたしが、デザインを担当することになった企業Vtuberの中の人に目を奪われてしまった件について
現実の女の子に対して、かわいいと感じることがめっきり減ってしまったのはいつからだろう?
今でも大好きな、あのマンガに出てくる女の子が登場するシーンを見た、小学四年生のとき?
それとも、初めてプレイしたギャルゲーに登場し、一目で夢中になったヒロインに出会った中学二年生のあのとき?
もしくは、当時おこづかいのほぼ全てをつぎ込み、今でも課金し続けているソシャゲの最推しを目にした、高校一年生のその瞬間?
分からないけれどいつのころからか、現実の女の子に対してかわいいと思う機会が、どんどん減っていった。
もちろん、いま巷で大人気のアイドルがテレビに映れば素直にかわいいと思うし、美人だと有名な女優さんを見れば綺麗だと思う。街ですれ違う女の子の中にも、かわいいと思える子はときどき、見かける。
でもそれはなんというか、客観的に見てのかわいいというか、夢中になるようなかわいさではないというか……言ってしまえばそう、萌えじゃないのだ。
そう、萌えだ。
この言葉は、わたしがオタク文化に触れ始めたころにはすでにあまり使われなくなっていた印象だけれど、それでもわたしの中でうず巻き、頭の中を侵略して、ときどき勝手に爆発しそうになるこの情動を表わすものとしてより適切な表現を、わたしは知らない。
だから三次元でかわいいと言われている女の子たちは、わたしにとって客観的に見てかわいいと分かる人たちに過ぎなくて、それは萌えとは呼べなかった。呼べないはずだった。
そうだ、現実の女の子になんて萌えない。萌えるはずがない。
だから、今わたしが感じているこの胸の高鳴りは、初対面の人に対するただの緊張かなにかに過ぎなくて、目の前の彼女から目が離せないのもきっと、その緊張で体が固まっているからなんだ。そうに違いない。
……なんて、わたしをこんなふうに葛藤させている張本人は、そんなわたしに構うことなく、気にする素振りもなく、自身のデザインについての要望を簡潔に口にする。
「先生から見たわたしを、わたしにしてください!」
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