第114話空白の2週間
早速myTVでは食べに行ってきた動画が大量にあがっているのだが、まあ撮影機材を置くスペースなんてまともにあるわけもなくみんなスマホの映像だった。
太郎応援ムードが加速していたのが、新商品を食べたあとは華鶴うどんあげの動画が増えてきたのだ。
そう、華鶴うどんは予想外においしかった。
舞茸の高級感漂う香りとあの味、ふっくらとジューシーなとり天、そして破壊力抜群の半熟卵天
この三本柱がうまく機能してファン層をふやしていった。
伊達に一時的でもブームを起こせた店だ、実力は相当高い。
天ぷらが決め手の味のうどんかそれとも麺圧マシマシな暴力的な太郎か。
真面目にどちらに投票していいかわからない人々でごったがえしぺけ上では議論が交わされていた。
二つの店は新商品をかけて戦っているのだ。
つまり、太郎の店になれば暴力的な麺量で食べられる麺マシになる可能性があると・・・。
質をとるか量をとるかという選択に迫られている。
匠な技でパワーに打ち勝てるのか、それとも圧倒的な力でねじ伏せるのか。
白熱した議論を展開しているようで、まあ単純に好き嫌いというのが上回っていた感じだ。
量を食べられる人はやはり太郎のように圧倒的な麺圧がいいだろうが、普通サイズで満足な人は当然天ぷらの美味しさも絶賛している。
一か月間天ぷらと麺談義が続くのだろうか?
一ヶ月同じメニューだけの2店舗だ。
客が他のメニュー食いたさに流れてくるだろうと余裕の構えを見せる近隣の飲食店だ。
三日も通えば飽きるだろうとそんなことを思っていたのだが同じ味の太郎が飽きられることもなく大繁盛している事実にきがついていなかった。
ネットに視聴者を持っていかれるわけにはいかないとテレビ局が気合の入った番組を作っていた。
空白の2週間を追ったドキュメンタリー番組だった。
え?人前に出られないほど酷い恰好に顔だったのによく取材OKしたね?って思うのだがそこはテレビ向けに用意した偽の新作作成現場を見せるに決まっている。
テレビ局もスタッフも偽りだと気が付かないのは、その偽新メニュー作成スタッフも真剣に新メニューを作っているからであった。
新メニューの材料などテレビ局に見せるものかという感じなので現場に用意した材料はそれっぽい物だ。
テレビ映像越しではモザイクに包まれた謎食材を調理していく映像が映し出されている。
清潔な格好、凛とした表情。これがまさにプロフェッショナルという感じの新作メニュー作成風景でテレビマンも納得の映像である。
どの映像を使ってもいいということで簡単に編集し特番ように仕上げるだけだ。
「この味噌じゃだめだ」とキリッとした表情で話す職人の味の探求具合に感心させられる映像になってるが当の本人は何がダメなのかさっぱりわからないけど、ここでこういっとけば映像に使えるだろという一芝居が必要な現場であった。
ネット映像では見られない映像であり注目度が高い旬な話題だ。視聴率はうっかり20%以上を叩き出してしまいまさかの大復活に局内はお祝いムードに包まれた、一時期小鳥遊グループを怒らせたときにはどうなるかと思った。
平均視聴率も高くて13%くらいと落ち目だったテレビがついに20%という数字をとっていた。
映像をとるだけでこんなに視聴率が稼げるとか聞いてないぞと他局は小鳥遊小鳥をゲストに迎えたりと微増ながら視聴率をせこく稼いでいる最中であった。
手堅くドキュメンタリーにして、2大チェーン店の新作発表の裏側職人の光と影の苦悩スペシャルはものすごい反響だった。
今始まっている華々しいイベントの裏でこんな苦労があったのかと、物語の厚みが増し、ペケの話題もTVの話題一色になった。
TVの中の職人は優秀で一週間以内に新作を完成させているのだから、大したものだと佐々木努は悲しい思い出を思い出していた。
いつも元気なうどん娘もシオシオでぼろぼろになるほどだったからなぁと裏の裏側を知る男はしみじみつぶやくのであった。
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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません
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