第14話・別世界

ピピピピ……

いつも使っているアラームの音がする。

(レヴィアタンにレールガンを連射してからの記憶がない)

そう思いながら、俺はアラームを止めるために、いつもスマホが置いてある方に手を伸ばす。

ふにっ「んっ」

(あの後たぶん倒してゲームを止めて寝てしまったのだろう)ふにふにっ

(かなはどうしただろうか。うーん、こんなにも思い出せないほど疲れていたっけ?)さわさわ

……あれ、スマホがつかめない。ぷにぃ「んぁあ」

自分の部屋には存在しないはずの柔らかい何かがある。

恐る恐る目を開けてその柔らかいものの方を見る。

バッチリと目が合う。

隣に知らない女子がいる。

「にゃぁあああああ⁉」「きゃぁぁああああ!?」

家中に悲鳴が響き渡る。

「おーい、穂稀ほまれ大丈夫か?」

誰かが、階段を登って来る!

ヤバい!ヤバい!

何がどうなってるのか全くわからない!

あわわわわ!

すると、いきなり腕を掴まれて布団の中に入れられた。

「ご、ごめんパパ。変な夢を見ちゃっただけだから大丈夫!」

「そうか?」

布団で隠れて見えないが、彼女のお父さんはどこかに行ったようだ。

この間にも、俺は今の状況を理解しようとするが、何も思い当たる節がない。

レヴィアタンにレールガンぶっ放した記憶が最後なのは、やはりおかしい。

考えていたら、布団が捲られて、また彼女と目が合う。

「あ、ありがとうございます」

布団から出た俺は、助けてもらったことへの感謝をした。

「あ、しゃべれるんだ」

彼女……穂稀が驚いた顔をした。

「そりゃ同じ人なんだから、話せるでしょ?」

「人……?」

何かもっと驚いた顔をしたんだが。

俺は近くにあった姿鏡を見つけ、自分の姿を見た。

そこに映っていたのは、可愛らしい服を着た猫。シンの姿だった。

「え⁉え?」

もっと近づいて見る。

やはりシンの姿だ。ってことは、ここはゲームの中……!?

「どうしたの?大丈夫?」

「……は!」

穂稀が心配そうにこちらをいる。

いかんいかん、わからないことだらけで取り乱しそうになった。

まずは……まずは……え~と。

「ねえ、あんたは一体なんなの?」

俺が、話す内容を考えていたら穂稀がそう聞いてきた。

「えっと、なんて言えばいいのかな……」

俺はこれまでのことを説明した。

「ということは、この世界がゲームの中ってこと?」

「そうでもしないとこの姿の理由が説明できない」

「けど、こっちからしたら実感ないんだよね。ここで生まれて今も生活してるんだもん」

まあ、そうだよな。

とそんな会話をしていたら、ベットの下から電子音がした。

「うわぁ、びっくりしたぁ……」

「穂希のスマホじゃないのか?」

「私のはあるよ、ほら」

そう言って、スマホを見せる。

恐る恐る下を見てみると、黒くシンプルなスマホがあった。

画面を開いてみると、そこにはゲームでよく見たメニュー画面が出ていた。

さきほどの音がまたそのスマホから鳴り、チャット通知が増えた。

開いてみると、サンカからメッセージが来ていた。

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俺より仲間の方が強いんですけど!? 秋猫シュガー @sikiaki22

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