第12話・奴が来た!
ピラニアの大軍は、プレイヤーを数で押していた。
突然のことで対応しきれず、周りから悲鳴が聞こえる。
捌ききれなくなったものから次々と消えていき、着々と数を減らしていた。
「なあサンカ、なんかこっちに来る数が増えてないか?」
「さ、サンカさん。一旦、町まで逃げたほうがいいんじゃないですか?」
かなも今の状況の危険性にやっと気づいたようだ。
「周りのヘイトの数が減ればこっちに来るよねぇ……」
そういうサンカは、先ほどの余裕そうな感じが、無くなっている気がした。
「サンカ、大丈夫か?」
「大丈夫だよ。けど、これは応援を呼ばないとまずいかもね」
サンカは、画面をいじりだす。
その間にもピラニアは数を増やしつつ、近づいていた。
「あと60秒耐えるから、ジンとかなはこれでできる限りの迎撃して!」
そう言いサンカは、銃を渡してジェットの勢いを強めた。
銃を見てみると引き金以外動くところが無く、とてもシンプルな造りだった。
「見りゃわかると思うけど、敵の方に向けて引き金引くだけでいいから」
恐る恐る、銃口を敵の方に向け、引き金を引く。
シュッ、という音がしたと思ったらピラニアの軍団が爆発した。
オォウ、シンプルながら威力が……強すぎませんかね?
「わたしもっ!」
かなも引き金を引きピラニアを爆発させる。
それでも、爆発に耐えたり、当たらなかったピラニアは止まることなくこちらを追いかけてくる。
なら止まるまでと、引き金に指をかけようとすると、遠くから何か聞こえてきた。
その音は、どこか聞き覚えがある。確か、飛行機が飛んでるときにそんな音がしたな。
そう思いつつ、音の方を見ると。ジェット機の上で仁王立ちしている億万が見えた。
「待たせたなぁ!何やら騒がしいことになってると思ったら、こんなところで何してんだよ!」
あ、あの声とテンションは億万だ。
「状況はさっき送ったでしょ!早くフォローしなさい!」
「わかっている!……とうっ!」
億万はジェット機からジャンプし、俺れの前で着地した。
まるで地面があるかのような動きだ。
「お、ジンと……えっと、かなさんだったか、驚いてるようだが、説明はまた後にさせてくれ。それよりまずは、あいつを倒すこと考えよう」
億万は、またピラニアを出し始めたレヴィアタンのほうを向いた。
そして、なにやら機械のようなものを腰につけた。まるでベルトのように。
子供のころ見てたアレのような。
「変身!白!」
どこか見たことのある掛け声と効果音がし、前見た白いヒーロースーツの姿になっていた。
「あの雑魚集団は俺が何とかする!サンカは本体に攻撃してくれ!」
そう言い億万は、ピラニアの軍団に突っ込んでいき。
「切り替え!金!」
そう言うと億万の体が金色に輝き、遠く離れたピラニアたちが、俺たちのことを無視して億万の方へ向かって行った。
「あの、ジンさん。さっきの方って、あの村にいた方ですよね?なんか性格と、声が豹変してましたが?」
かなが不思議そうな顔で聞いてきた。
「まあ……なんというか、二重人格みたいに中身が違うんだ」
「あ、そうなんですね。似たような人は、たまに見かけるんですけど皆さんそんな感じなんですね」
「ああ」
めんどくさいからそういうことにしよう。
大量のピラニアの群れを億万に預け、俺たちはレヴィアタンに向かっていく。
レヴィアタンも、近づいている俺たちに気づいたのか、ピラニアを出すのを止め、高圧水流をこちらに放出した。
その瞬間、背中のブースターから機械音がし、見ようとしたら。突如進行方向を変えた。
いきなりのスライド移動にお腹が圧迫される。
そして、水流が下を掠める。
「おい、サンカ……」
サンカの方を見ると、いつも以上に真剣な顔をして前を向いていた。
懐かしい表情だった。前見たのは、中学の時にゲームで難しいステージをやっていた時だったか。
あの時は、声をかけても気づかなかったな。
そんなことを思い出しつつ、次の衝撃に耐えるためにジェットパックと体を固定しているハーネスを掴んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます