第11話・レヴィアタン

プレイヤーによって作られた町の中心の大穴、ボスがいるそこから響く甲高い声。

その音は、町全体に響き渡り、付近の動きを止め視線をくぎ付けにした。

何が起こったかわからない者たちは、穴の方に目をやる。

そこにはその大穴より少し小さい怪物が出てきていた。

それは、わにのような顔をしており、体は蛇のように手足が無く、細長い体には魚の背びれのようなのが付いていた。

このゲームの高レベルのプレイヤーなら一度は見たことのあるモンスター。

しかし、それはあの大穴の奥のエリアでだけである。

いつもとは違う異常な光景。

すると一部のプレイヤーが我に返り、その光景をスクショし、ネットに上げだした。

「おいなんだよあれ?新イベントか?」

「だとしても告知なしでするか?」

「てか、その前にここから離れたほうがいいんじゃないか?」

サンカを集中砲火していたプレイヤーたちがそんな会話をしていた。

突然のことでまだ状況が理解できていないようだ。

ピピッ『ジェットパックの権限をサンカに変更。……モード変更、追尾モード』

背中につけていたジェットからそんな音がした。

すると、サンカが猛スピードで俺の横を通り過ぎた。

「今のうちに逃げるよ!」

「は?ぐぇ」

いきなり背中のジェットが火を噴きサンカの後ろを追いかけるように飛び出した。

横を見ると、かなも状況が読み込めていない顔をして飛んでいた。

「なあ、サンカあのでっかいのがレヴィアタンなんだよな?」

「そうなんだけど、あの大穴から出れないようになってたし、ましてや宙に浮いたりもしなかった。他にも変わったところがあるかもしれないから、隠れれる所で様子見したほうがいいかも」

サンカがそう言うとレヴィアタンの方で動きがあった。

近くにいた多くのプレイヤーがレヴィアタンに向かって攻撃をしていた。

体の大きく、動きも遅いレヴィアタンは格好の的だろう。

すると、レヴィアタンの体の周りに魔法陣が何個も出て、そこから高圧の水が無造作に噴射された。

それはプレイヤーの体を切断し、町を一瞬のうちに破壊し、離れた山の一部分を削った。

俺らの所にも飛んで来たが、距離もあり威力が落ちていた。

水は簡単にサンカのバリアで防がれた。

「あれ、ソロだと分散せずに噴射されるのよね……」

サンカが飛びながらボソッとそう言った。

「あんなの一人で倒せるのか?」

「倒せるわよ。ちょ〜〜っと時間がかかるだけで」

「まじか……」

あんな化物一人で倒せるのか。全く想像ができない。

そんなこと考えていると、目の前に黒と黄色の規制線が上下にある画面が出てきた。

内容を見てみると、《ウンガレヴィアタンの集団討伐イベント発生中!》と書かれて、下には細かな詳細が書かれていた。

ざっくり略すと、誰かのウンガ魔法で、飛行と能力が強化されたレヴィアタンを全員で討伐しようという内容だった。

やっぱり、あれが出てきたのって、俺が撃ったウンガだよな……。

そんな感じで、のんびり画面を見ている俺だが、絶賛レヴィアタンの第二放射が放たれている中それを避けている。

動かしてるのはサンカだし当たりそうになっても、距離があればバリアで防げる。

他のプレイヤーもサンカと同様に、避けながらレヴィアタンに攻撃を仕掛けている。

すると、レヴィアタンが口が大きく開いた。

「来た!新しい攻撃!」

そうサンカが叫んだ。

急に方向転換し、レヴィアタンから距離をとる。

口を開けた数秒後に、中から一メートルほどのピラニアのようなモンスターが大量に出現した。

うわ、きもちわるい。

数えきれないほどピラニアが、ちりじりになりながらプレイヤーに襲い掛かった。

ピラニア型のモンスターの対処で、レヴィアタンへの攻撃が止まった。

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