二十七、洞天仙会〈二〉
「全然見つからないね」
「うん、高ランクの妖魔とも遭遇しねーし……」
洞天に入って、山の散策を始めてからからかなりの時間が経過しているが、一向に天宝は見つからない。
この難航した状況は原作に沿っており、
(実は天宝の場所知ってるよーって言えたらいいんだけどね)
『桔梗仙郷伝』の作者である
「あれっ、急に天気が……」
ふいに、後ろにいた
「なあ、あれ……」
「
「この人たち、さっき出会った南峰の先輩たちじゃ……」
たしかに、この男たちは先程ちょっかいを出してきた
「息をしてない……」
「そんな……」
「こいつら、死んでるってことか!?」
「残念だけど……。これは妖魔の仕業かな」
「修行に危険はつきものっていったって、仙会でここまでするのか……?」
「ここにいた妖魔が想定よりも強かったのかも」
突然の出来事に、
そして、周囲を警戒しながら状況確認をするうちに、
「なあ、
「はぐれた!?」
同様に
(ついに始まってしまった……【
この霧の中の亡骸発見こそが、『桔梗仙郷伝』洞天仙会編・本編の始まりである。
一刻程前の男たちとの遭遇では、彼らの死の運命を知っているが故にどんな顔をしていいか分からなかった。
「
「だめだ、繋がらない」
「俺もだ。少し前までそこにいたってのに……」
『──陛下、聞こえますか?』
ところが、繋がらないはずの
『
それに対して、
『よかった! 繋がりました! 今、
『今、どうやって俺に繋いでるんだ……? 霊気を通しての意志の伝達は途絶えてるはずだけど』
『はい、通常の術では繋がらなかったので、恐れながら魔力を通して語りかけてます』
『おお……魔力クソ便利だな』
そんなことまでできるのかと素直に感心してしまう。
(これが脳内に直接語りかけるっていうあの……じゃなくて!)
『
『えっ!? あの犬がここにいるんです!?』
『しーっ!
『わかりました! いやぁ、流石陛下ですね〜楽しみにご報告待ってますね』
『はーい』
本来であれば不安でたまらない状況だが、
「
「あ、ごめん! 俺は大丈夫!」
全てを知っているだけに罪悪感が重くのしかかる。はやく
「天宝探しどころじゃなくなってしまったね。状況が分からない以上探索は中断し、はやくこの場から離れて師尊に報告しよう」
「ああ。二人が無事だといいんだが……」
今亡骸を持ち帰ることはできないため、三人は黙祷してから、その場を立ち去る。
しばらく洞天の出入口を目指して歩いていくが、いかんせん霧が濃いために今自分たちがどこにいるのか、この道が正しいのか分からない。
それどころか、足元まで霧が迫ってきており、ちゃんと正しい道を歩けているのかも視認できない状況だった。
そして、【ルート】は順調に進行していき、ついにその時がやってくる。
「一体どこがどこだか……」
グシャッ
「え?」
少し横に逸れていた
「は……」
自分の状況に気がついた
断崖。一歩踏み出した
「
"
「
「……っ!」
その縋るような頼りない瞳と目が合った瞬間、
(はは……崖から落ちるのってこんな感じか……)
奈落へと身を投げた
「
崖の上から
(二人共! 俺を犠牲に愛を深めろよ……!)
これも全て計画通り。
それから、打ち身で死なないように背中に霊力を集めた。
最後に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます