雪の中でそれは、優しく灯る
- ★★★ Excellent!!!
真白な雪景色の中を一人の人間が歩いている場面からこの物語は始まりを告げる。
肌に雪の礫が当たるような感覚を覚える物語だ。礫とは言い過ぎだろうが、吹雪く雪は肌に当たると痛い。
物語は通して雪の中の静けさを思わせるが、時折、肌に当たる雪の痛さを感じる。
物語を読み終えた後、もしかして、と想像が膨らむ。そして、あの場所で佇む屋敷のような、家屋の中に住む人を思う。それは恐怖というよりも納得する結末がもたらされたと感じる。
この物語には、ほんのりとした温かさが残るが、その温かさを思う時、手のひらがぞわり、とするのも確かだ。
家屋の周りを囲むものを思い、私は、あの屋敷のような家屋に住む人を思う。
雪灯り。物語を振り返る時、非情にも納得してしまう。
民話のようなホラーが好きな方におすすめの作品です。