第3話 謎のスマホ

「ねぇ、つきくん。これ」

椎名の手には、スマホがあった。


「スマホ……か。椎名のか?」


「ううん違う。私のはこっちにあるから」

もう片方の手には確かに、スマホがあった。


「じゃあ、これはなんだ? 中身見て確認できたりするか?」


「う、うん。やってみる」

パスワードはかかっていないようで電源をつけたらすぐにホーム画面だった。


「これは、初めて見るアプリだな……とりあえず、ダイスを振ってから考えるか」


「そうだね」


そして俺達は、最初のダイスを振った。

出た目は3

俺達は道なりに3マス進んだ。


「えぇ〜と、『フリマサイトで儲けた。1万円もらう』……か。はじめからお金をもらえるのは嬉しいな」


あとから知ったことだが、この貰えるお金はマスに書いてある値段×1グループの人数分らしく、支払う場合も同様だそうだ。


「名島くん、このお金は2日に一度開くマーケットでしか使いないのでしょうか?」

月下がそう疑問を呈した。


「そうだな……試してみるか。なぁ、美延。なんか欲しいものあるか? 食べ物とか。いやまぁ、食べ物じゃなくてもいいんだけどさ」


(そういえば、まだ慣れられてないんだっけ……)


「……ロン」


「おっ、会話してくれた?!」

俺がそう言ってしまったばかりに、美延は頬を赤くして縮んでしまった。


「あ、ごめん美延。大丈夫だよ、ゆっくりでも良いから」


「……うい」


チラッと椎名に目をやると空を見上げて

「大福かな〜、たい焼きも良いなぁ! でも、洋菓子も食べたいなぁ〜」

なんて言っていた。


(椎名は結構甘党っぽいな。一応、覚えておこう)


美延に視線を戻すと、口を開いてくれた。


「……マ、マカ……ロン」


「マカロンか! いいね、でもケーキ屋なんてあったっけか」


「つきくん! 私にお任せあれ〜、私は昨日見つけてしまったのです……女子寮の裏に奴が……ケーキ屋さんがあることに……!!」


何かよくわからないテンションで椎名が語った。


俺達はケーキ屋へと歩き出した。

「そういえば、椎名たちはなんでこの学園に来たんだ?」


ふと思った疑問を3人に投げかけた。

最初に口を開いたのは月島だった。


「……僕は、父が大学病院の医者で母がアパレルでほとんど海外にいて……世話をしてくれるのは殆どお手伝いの人だけで――」


「あの、ごめん。何か大きな家の人なの?」

お手伝いの人という単語に驚き、話を割って聞いてしまった。


「聞いたことありませんか?C.MってロゴのChronos.Moonってブランド」


「えっ! あのクロノスムーン?! すごーい! 私好きだよ、新作は買うんだ〜!」


椎名がまた盛り上がっている。椎名は流行に敏感そうだな。


「でも、結構値段しませんか? 高校生が買えるような値段では……」


どうやら、高級ブランドらしい。高校生が買えないような値段か……考えただけで恐ろしい。


「大丈夫! 私のパパ、名前は出せないんだけどIT企業の社長やってるから、お小遣いはたくさん貰ってるんだ!」


いいでしょ〜!と胸を張って誇らしそうにこちらを見ていた。

スタイルが良いだけに、本当に出ているとこは出ているので、少し困る。


そうこうしているうちに、ケーキ屋へと辿り着いた。

店内に入ると木を基調とした落ち着いた雰囲気にケーキの甘い香りが漂っていた。


「美延はマカロンだったよな。飲み物はいるか?」


「み、水で……いい」


結構話してくれるようになったな、思っていたよりは早かったかも。

正直、ちゃんと会話をしてくれるまで一週間くらいかかったりするかと思った。けど、まだ途切れ途切れではあるけど会話してくれて嬉しい。


「わかった。じゃあ俺は、ショートケーキと紅茶で」

俺は美延の分も含めて会計をした。

つい癖で現金で支払ってしまったが、さっきのすごろくの一万円を使ってみても良かったかもしれない。


それぞれの注文が終わり、席に着いた。

「どうだ美延。おいしいか?」


「うい・・・・・・!!」

目を輝かせてそう言った。


「そういえば椎名、さっきのスマホちょっと見せてくれるか?」


「うん、いいよ」

そう言って椎名は俺にスマホを渡した。


電源をつけると見たことないアプリが複数入っていた。

「これ、一つずつ開いても大丈夫か?」


「わかんないけど、多分大丈夫じゃない?」


慎重にアイコンを押し、アプリを開いた。

「「「これは・・・・・・」」」


画面には所持金が表示されていた。

この学園で使用できるのは、日本で流通している貨幣のほかに学園内でしか使用できない通称・学園Payがあるらしい。

ゲームで手に入るお金は全て学園Payになるため、結局使う頻度が多くなるのは学園Payになるだろう。


「4万円……か。あれ? でも確か、マスには1万円って書いてあったよな?」


それについて分かったのは次のアプリを開いた時だった。


「次は、これか。これは……学園マニュアル?」


「名島くん、これじゃないですか? 学園Payについてってありますよ」


「お、えぇっと……マスの指示によって貰えるお金は学園Payにのみ変換でき、貰えるお金はマスに記載している値段×人数分である。また、支払う場合もこれと同様である。だってよ」


「じゃあ、学園Payメインで使っていかないとだね!」


「あぁ、そうだな」


それともう一つこのゲームについてとあった。

マニュアルによると、このゲームは1時間に1回サイコロを振り、それを7回。つまり7時間分を1日に行うらしい。

良い情報だ。夜通しでやるなんてごめんだからな。


スマホにはあと一つ、アプリが残っていた。

アプリ名には''Status''と書いていたため、恐らくステータスが表示されるのだろうけど誰のどんな内容が表示されるのか分からないため、押しにくい……


そう悩んでいると

「押してみようよ!」

「名島くん、ここは押してみましょう。様子見ですから」


「わ、分かった。押すぞ……」

そして俺はアイコンを押した。


アプリが開くと4人の顔写真、生年月日から身長体重、血液型まで全て載っていた。

それに気づいた椎名は、バッと俺からスマホを奪い隠した。


「だ、だめ! つきくんと月下君はだめ!」

頬を赤らめて、椎名がそう言った。


「悪い、見る気はなかった。不快にさせたなら悪かった、謝るよ」


「い、いや大丈夫だよ。そんなに謝らなくても!」


まぁ、そんなこんなで1時間目が終了した。

次の時間には何が待ち受けているのか、楽しみで仕方がないな

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