第2話
眩い光と共に、声が聞こえてきた。
(こんなところで、いつまでも足止めされてはいけません)
と言ったかと思ったら、さるとキジは、光に包まれるようにして、瞬間的に移動していた。
そして、さるとキジといぬは、再会した。
キジが口を開く。このせかいで、何が起こっているのかを。
「女神様がおっしゃったわ。わたくしたちが、本気でこのせかいを元に戻したいという気持ちが必要だと」
「おまえは、女神様信じてるけど、おれはなあ…」さるが言う。
「ぼくは、このまま、おじいさんと一緒がいいなあ」
え!?キジとさるがいぬを振りかえる。
「いや、さすがにこのままってわけには…」
「そうです。桃太郎が予定外の場所にいるのですから…」
「う~ん。でもぼくは、争いはいやだし…」
「そこは、鬼とも話したのだけれど…」とキジが説明しようとした矢先
「え!!!鬼!?ぼくはいやだよ!」
「ちょ、ちょっと待って。ちゃんと話を聞いて」
と、いぬをなだめようとするが、いぬは、猛り狂ったかのようにそこら辺を駆け回る。
しまいには、小高い所へ駆けあがり、遠吠えをする始末。
キジとさるは、いぬが落ち着くまで待つことしかできなかった。
その夜、おじいさんの納屋。突然やってきて、家に上がり込むなんて…と主張したキジに合わせて、三匹は、納屋を借りて寝起きすることにした。
いぬを説得するべく、頭を悩ましつつ、うとうとするキジ。いぬは、藁を寝床としてしつらえ静かに眠りについた。さるは、時折、けたたましく寝言を放ち、これでよくみんなが起きないなと、感心するぐらいだ。
キジは、夢を見ていた。知らない男の人が、キジに話しかけている。
(もうすぐそちらに行くから)
(あなたは?)
(僕たちでこのせかいを…)
(誰なの?)
男の人が遠のいていく。
(まって!!!)
と、ここで体に痛みが走る。
何事かと、目を覚ましたキジ。どうやら、寝相の悪いさるに蹴られたらしい。
重たい脚をなんとかはねのけ、今見た夢を思い返す。
どっかで、見たことがある気がするのだけれど…
それより、今日こそは、いぬを説得しなくては!
キジはいぬを散歩に連れ出した。
さるは置いてきた。横やりを入れられては、困る。
いぬは、戦うのが嫌だと言う。ならば、戦わずして、解決に導けばよいのだ。
あとは、おじいさんとの関係だ。いぬはすっかりなついている様子。離れたくないのだろう。しかし、それだとこのせかいの成り立ちが、変わってしまう。
女神様がおっしゃった。本気で望めば、このせかいは、元に戻ると。
つづく
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