第40話 逆転に次ぐ逆転
コンビネーション・アタックで形勢逆転し、金田(カネダ)を追い詰めた雷斗(ライト)と仁(ジン)。
彼らの後ろには、仁(ジン)が事務局へ通報したことにより、特殊部隊がヘリからロープを垂らして舞い降りてきていた。
はじめは動揺しているかのような仕草を見せていた金田(カネダ)だが、何故か余裕の表情で笑みさえうかべている。
「チッ、チッ、チッ……、ちっくしょ〜。…………なんちゃって(笑)。」
(!?)
「オイ! いつまで油売ってんねん。」
誰かに呼びかける金田(カネダ)。
黒服の男達が潜んでいた社の裏から、なまぬるい熱風が吹き寄せてきた。
そして辺りにみるみる熱気が漂うとともに、誰かの声が聞こえてくる。
「ほぉ〜。廉価版とはいえあの数のE'bを倒すとは、やるじゃね〜か。だが、俺を忘れられちゃあ困るな。」
熱気をたたえ現れたのは、輝(テル)だった。
しかし、その姿は痛々しく全身焼けただれ見る影もなかった。
それでも、その声と変わらぬ鋭い目つきに、苛立ちをおぼえる雷斗(ライト)。
「随分、酷い有様だな。誰だか分からなかったゼ。」
「ほぉ〜。一番初めに、のびちまったから知らね〜のか。この屈辱はな、テメェのお友達“閃光のフォトン”に焼き刻まれたのさ。」
沸々した熱気に身を包み、話半ばからE'bへ変身する輝(テル)。
その姿は以前とは様相を呈し、所々アーマーが剥がれ落ち、特徴的だった二本の耳のような角の片方がなくなった顔は、半分が破壊され禍々しい髑髏のような姿の“ファイヤー・バニー・ネイキッド”へと変身した。
「もう、辞めたまえ。これ以上の戦いは無意味だ。運営局の兵士の指示に従うんだ。」
「ガッハッハッハッハッ。オイ、ボウズ。お前さん、何もこの世界の事を分かっとらへんな。」
金田(カネダ)は、ゲラゲラと笑いながら、それでいて目つきは鋭く、仁(ジン)の話を否定した。
「二転三転としとるようやが、はじめから詰んどるのはお前等や! そいつらの銃口は、どっちを向いとる?」
「何!? コレは、どういうことだね。」
仁(ジン)達は、背後からイド・フロンティア事務局の特殊部隊に銃を向けられていた。
「ガッハッハッハッハッ。笑いが止まらんわ。何度も言うが、この世界は、欲望で動いとるねん。」
「まさか…、兵士を買収したのかね!?」
「それだけとちゃうで、しっかり課金もしてあるで。」
兵士達は近代的な武装を装備したまま、いや取り込んだと言った方が適切だろう、コンバット・ニュートンズへ変身していく。
「何ということだ…。」
「チェックメイトや。降参しろ!」
「仁(ジン)さん。銃器を持っている兵士達は任せたゼ。俺は、この死にぞこないと決着をつけるゼ。」
「ほぉ〜、舐められたものだな。お前の惨敗で、一度決着がついているのを忘れたか?」
雷斗(ライト)と輝(テル)が、拳をぶつけ合い凄まじい火花が舞い散った。
一方、コンバット・ニュートンズは、仁(ジン)にめがけて弾丸の嵐を浴びせかけた。
『ババババババン』
仁(ジン)の周りには、磁場が張り巡らされているため、弾丸は一発も当たることはなく、コンバット・ニュートンズ達に跳ね返っていった。
仁(ジン)は、そのまま像の闘気を身に纏い空中に舞い上がると、その強力な磁力で兵士達を運んできたヘリコプターを操り、輝(テル)に向かって投げつけた。
『ドカーン』
爆音を轟かせ炎上するヘリコプター。
しかし、爆発は輝(テル)にぶつかったからではない。
激突のわずか前、輝(テル)の両手のひらから巨大な火球が現れ、ヘリコプターを撃破したのだ。
燃え上がる炎の向こう側で、輝(テル)が仁(ジン)を睨みつけ、両手のひらから今まさに火球が放たれようとしている。
『ズババーン』
雷斗(ライト)の電撃カカト落としが割って入り、輝(テル)の火球はふせがれた。
カウンターの火炎回し蹴りを仕掛ける輝(テル)。
それを後ろにはね避ける雷斗(ライト)。
そして二人は、燃え上がるヘリコプターの残骸の中で、激しく殴り合いをはじめた。
一方、弾き返された弾丸をものともせず、立ち上がってきたコンバット・ニュートンズ。
近代武装の防弾チョッキで、致命傷を防いだのであろう。
E'bによって空中に浮遊する仁(ジン)の様子をうかがいながら、マシンガンを投げ捨て肉弾戦へときりかえるために身構えた。
その姿は、先程のニュートンズとは違い攻守共に訓練されているのだろう、まったく隙が無い。
やがて、ジャンプしてもとうていとどかないた高さに浮かぶ仁(ジン)に、コンバット・ニュートンズは二体一組になりアタックを仕掛ける。
その動きは、がむしゃらに襲いかかってきた最初のニュートンズと違い、あきらかに何かを狙っての統率のとれたものだった。
そして、一体が飛び上がると、もう一体が先に飛び上がった一体の背中に飛び乗り更に跳ね上がる。
警戒をしていた仁(ジン)であったが、あっという間にコンバット・ニュートンズに取りつかれ、その重さに耐えきれず地面に落下してしまった。
いかなる時も堂々と凛とした態度の仁(ジン)であったが、さすがに足が不自由なうえ戦闘に手慣れたコンバット・ニュートンズに取り押さえられては、情けなく地面にひれ伏すことしかできず呆気なく戦いは終了した。
雷斗(ライト)と輝(テル)は、お構いなしに激しい戦いを続けていたが、金田(カネダ)が止めにはいる。
「オイ、輝(テル)。もうええわ。若いの、諦めろ。相方を見てみ〜。お前らの負けや。」
「雷斗(ライト)君、…申し訳ない。」
雷斗(ライト)は息を切らしながらも、まだ納得ができずにいるが、アスカとボーイに加え仁(ジン)まで人質に取られては、さすがに諦めるしかなく、その場にあぐらをかいて座ってしまった。
「ちくしょう! 納得がいかね〜ゼ。」
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